男子「金」2個とも2番手選手…代表1人制の五輪ではゼロの危機

[ 2011年8月29日 09:00 ]

柔道世界選手権

 【中村佳央の目】昨年の東京大会の総括で、今年のパリ大会で真価が問われると書いた。昨年は本来の柔道に近づくルール改正、1階級2人代表制という変化に加え、地元開催の利が日本のメダル量産を生んだ。厳しいアウェーのパリ大会で、真の力が問われるという意味だった。

 結果は金メダルで男子が1、女子が2個、総メダル数で男子が2、女子が1個減った。大きな判定の不利は見られず、これが現状の力と考えていい。ただ、気になるのが男子の戦いぶりだ。

 2個の金は、ともにその階級の2番手とされた選手で、代表1人制の五輪では金はゼロと考えることもできる。しかも、上位に進出しなければならない穴井、鈴木、上川が序盤で敗退した。結果に表れなかった現状の厳しさがあるといえる。

 しっかり組まないと掛からない支え釣り込み足や小外刈りなどが増えたのは、海外勢のルール改正対策をうかがわせる。結果を出した若手は糧に、前王者となった選手は引き締め直す機会にしてロンドン五輪を迎えられれば、意味のある大会になるだろう。 (93年世界選手権86キロ級金メダル)

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2011年8月29日のニュース