進化の“怪物”あと一歩…緒方、悔しさにじむ銀

[ 2011年8月27日 06:00 ]

女子78キロ級決勝で、チェメオ(左)に敗れた緒方亜香里

柔道世界選手権第4日 女子78キロ級

(8月26日 フランス・パリ、ベルシー体育館)
 3分ちょうどだった。女子78キロ級決勝。緒方がチェメオの出足払いで畳に転がった。地元の金メダルで沸く歓声の中、一人、悔しさをこらえた。

 多くの逸話を持つ“怪物”だ。小1で始めた空手は4年生で全国優勝。引退試合と決めた中1の全国大会は相手をKOしてしまい、反則負けを喫した。熊本・松橋中1年で柔道を始めると、基本を教えられただけで部内最強の座を手にした。1メートル71、足のサイズ27センチの恵まれた体格とパワーだけでなく、格闘技の才能は天性のものだ。

 昨年は初出場で銅メダル。頂点を目指し、奥襟を取らないと技が出ない弱点の克服に取り組んできた。結果の出ない日々が続いたが、5月のグランドスラム・モスクワで優勝し、復調して迎えた2度目の舞台だった。

 金メダルには届かなかったが、準決勝で昨年銀メダルのアギアル(ブラジル)に大内刈りから横四方固めの合わせ技で一本勝ちするなど、進化は見せた。04年アテネ五輪を最後に引退した阿武(現姓園田)教子さん以後、世界に届いていない階級で、20歳の緒方が確実に頂点を見据えている。

 ▼緒方亜香里 金メダルを狙っていたので悔しい。ただ、自分の柔道はできたと思う。体の調子は良かった。

 ▼全日本女子・園田隆二監督 緒方はメダルの色というよりも自分の柔道ができたことが収穫だ。今後はあいつの柔道を貫くだけ。金メダルを十分に狙える選手だ。

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2011年8月27日のニュース