西山リベンジならず…最強王者に一本負けで2年連続銀

[ 2011年8月27日 06:00 ]

男子90キロ級決勝で敗れ、座り込む西山大希

柔道世界選手権第4日

(8月26日 フランス・パリ、ベルシー体育館)
 男子90キロ級で西山大希(20=筑波大3年)が銀メダルを獲得した。準決勝で小野卓志(31=了徳寺学園職)に優勢勝ちした西山は、決勝で昨年王者のイリアス・イリアディス(ギリシャ)にまたも苦杯。金メダルにあと一歩届かなかった。小野は銅メダル。女子78キロ級の緒方亜香里(20=筑波大)も決勝で敗れて銀メダルに終わった。女子70キロ級の国原頼子(25=自衛隊)は銅メダルだった。

 西山はまたしてもイリアディスに屈した。昨年と同じ顔合わせとなった決勝。3分31秒、昨年王者の得意の大外刈りで一本負けした。雪辱を期した1年間だったが、最強王者の壁は厚く、2年連続の銀メダルだった。

 「情けないのひと言。悔しい気持ちしかない。練習してきたことが出せなかった。イリアディスが上だった」と西山は絞り出した。

 初出場の昨年は、表彰台でニコリとも笑わなかった。「悔しい思い出しかない」。81キロ級の04年アテネ五輪王者。90キロ級でも昨年の世界選手権を圧倒的強さで制し、完全復活を印象づけたイリアディスに一本負けした。「どうしてあんな戦いをしたんだろう」と自問自答し続けた。「小野さんを倒して代表になる」と同時に「イリアディスを倒せば世界一になれる」が口癖となった。

 7月のスペイン合宿では連日、その宿敵に稽古を申し入れた。投げられても投げられても繰り返し、組み手のさばき方から体の使い方まで徹底的に研究した。「組み手を切ると、下がる癖がある」とも見抜いた。現役最強柔道家へのリベンジに集中してきたが、まだ通用しなかった。

 だが、国内のロンドン五輪代表争いでは、一歩リードした。準決勝で筑波大の先輩で「尊敬する人」と公言している小野と対決。けんか四つを制し、先に攻撃を仕掛けた西山が、残り52秒で小野の2度目の指導を引き出して優勢勝ちした。最初の対戦では締め落とされた20歳が、4度目の対戦で初勝利を挙げた。

 東海大柔道部出身の父・太郎さんに殴られながら覚えた柔道。小学生時代から釣り手の使い方や足の運び方まで「高校生でも難しいこと」を徹底的にたたき込まれた。頂点には届かなかったが、その正統派柔道は、雪辱を期すロンドンへ確実に近づいている。

 ▼全日本男子・篠原信一監督 西山も小野も強かった。2人とも上位選手と当たって勝ち上がった。ただイリアディスが強過ぎる。ロンドン五輪に向けて彼の対策をしないといけない。

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2011年8月27日のニュース