山下“苦労人旋風”でツアー初Vに王手!

[ 2011年6月5日 06:00 ]

<日本ゴルフツアー選手権3日目>9番アプローチショットを放つ山下

男子ゴルフツアー日本ツアー選手権シティ杯宍戸第3日

(6月4日 茨城県笠間市・宍戸ヒルズカントリークラブ西コース=7317ヤード、パー71)
 プロ14年目の山下和宏(37=ザ・サイプレスGC)がメジャーの舞台でツアー初優勝のチャンスを迎えた。4バーディー、2ボギーの69で通算4アンダーの首位に浮上。最終日最終組は今回で4度目だが、最終日を首位で迎えるのは初めて。30代後半の初優勝が続く今季の“苦労人旋風”に乗って、山下が悲願達成に挑む。丸山大輔(40=アイテック)とJ・B・パク(29=韓国)が1打差の2位につけた。
【第3R成績】

 ここからの道のりが長いと知っているからこそ、山下は気楽だった。会見で単独首位の気分を聞かれると「イエーイ!」と高島忠夫ばりのサムアップ。「あしたの後半でトップにいられるかが大事。どうなるか楽しみだし、不安もある」と正直な心境を語った。

 バーディーを先行させて、いい流れに乗った。1番パー4では2打目を左にひっかけたが、斜面ではねて6メートルにグリーンオン。幸運を生かしてバーディー発進すると、後半には独走していたH・T・キムが崩れ、15番のリーダーボードでは自分が一番上になっていた。その後の17番で「お恥ずかしい」3パットのボギーもあったが、「それ以外はよく頑張った」と首位で踏ん張った。

 最終日最終組はこれで4回目。過去3回は全て09年で、いずれも優勝を逃した。2位に終わったANAオープンで「僕にはここからが何か足りない」と涙を浮かべた悔しい経験もある。「何もかも分からなかった2年前と違って、優勝を意識できる環境もできている。優勝している先輩から“山下もいけよ”と言われるようにもなってきた」とV争いを生き残る自信をのぞかせた。

 今季の男子ツアーは6試合全て30代の選手が優勝している。特に日本プロではプロ16年目の河井博大が、とおとうみ浜松オープンではプロ14年目の小林正則が初優勝を飾った。同じように下積みを続けてきた山下が燃えないわけがない。「僕も今年で38歳。こんなチャンスは一生ないかもしれない。そう思うと燃え尽きるまでやらないと」。プロ10年目までのツアー賞金額は合計で100万円にも満たなかった。だが、いま山下の目の前には大きなチャンスがぶら下がっている。

 ◆山下 和宏(やました・かずひろ) 1973年(昭48)11月5日、大阪府高槻市生まれの37歳。15歳からゴルフを始め、高校卒業後にザ・サイプレスGCの研修生となって98年にプロデビュー。鳴かず飛ばずの時代が続いたが、下部ツアーの賞金ランクで上位に入り出場権を得た08年に初シードを獲得。そこからはシードを守り続け、昨年の賞金ランクは39位。ツアー外競技では05年関西オープンなど3勝。家族は夫人と1男1女。1メートル75、70キロ。

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2011年6月5日のニュース