ついてる?栃ノ心“お古”で快進撃!1差離れん

[ 2011年5月22日 06:00 ]

琴奨菊を寄り切りで下す栃ノ心

大相撲技量審査場所14日目

(5月21日 両国国技館)
 2敗の平幕・栃ノ心が白鵬の14日目Vを阻止した。立ち合いの左変化で左上手をつかみ、万全の体勢で琴奨菊を寄り切り。自己最多タイの12勝を挙げ、千秋楽に初優勝の望みを残した。横綱・白鵬は大関・把瑠都を寄り切り、1敗を死守。千秋楽の結びの魁皇戦に7連覇を懸ける。
【取組結果】

 立ち合いで左に動いて栃ノ心は“生命線”の左上手をがっちりつかんだ。さらに右を差して腕(かいな)を返し、左四つ得意の琴奨菊を完全に封じた。慌てず上手投げで相手を崩して万全の体勢で寄り切り。2敗を堅持して千秋楽に初優勝の望みをつないだ。「最初から考えていた。左を取れれば相撲を取れますから」。13日目の把瑠都戦も変化気味に動いて左上手にこだわり、苦手の大関から初白星を挙げた。その戦法に迷いはなかった。

 快進撃の要因は“締め込み”にあった。実は今まで使用していた空色のものが古くなったため今年の初場所後に、後援者から金色の締め込みを贈られた。しかし、土俵上での見栄えを考慮した春日野親方(元関脇・栃乃和歌)が“物言い”。代わって師匠から渡されたのは10年以上倉庫に眠っていた年代物の紺色の締め込みだった。師匠のお古効果?で結果を出し、栃ノ心も「何かついてるね。柔らかくて、いい感じ」と今やなくてはならないアイテムとなっている。

 八百長問題で元竹縄親方(元幕内・春日錦)の鈴木孝洋氏が在籍していた春日野部屋は連日、報道陣に囲まれた。2月上旬から約1カ月間は一歩も外に出られない状況。春日野親方が朝稽古の見学を禁止し、弟子のために少しでも稽古に集中できる環境を整えてくれた。そんな師匠への恩返しの気持ちが自己最多タイの12勝につながった。

 「優勝争いは考えていない」と言うものの、横綱が勝った結びの一番は支度部屋のモニターで食い入るように見つめた。千秋楽は初めて三役そろい踏みで土俵入りし、大関・日馬富士と対戦する。「ここまでやってきた気持ちで(最後も)いきたい」。グルジアから来日して5年目で迎える最高の晴れ舞台。平常心で大関を撃破し、土俵下で待つ白鵬に重圧をかける。

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