相撲協会 八百長関与と認定の23人を“角界追放”

[ 2011年4月1日 19:41 ]

大相撲の八百長問題で記者会見する日本相撲協会の放駒理事長。左は特別調査委員会の伊藤滋座長

 大相撲の八百長問題で日本相撲協会は1日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、実態解明の特別調査委員会が関与を認定した23人の力士、親方について、事実上の角界追放を意味する厳罰処分を決めた。2月にメールで発覚して以来角界の屋台骨を揺さぶり、信頼を大きく失墜させた不祥事は大きな節目を迎え、今後は再発防止策の決定と5月の夏場所開催問題が焦点となる。

 放駒理事長(元大関魁傑)は夏場所の開催については「現時点では申し上げられない」と言葉を濁したが、通常開催は極めて厳しい状況。同理事長はあらためて過去の八百長の存在を否定した。

 処分の内訳は(1)徳瀬川ら幕内6人、十両清瀬海を含む力士19人の引退勧告(2)八百長関与を当初から認めた十両千代白鵬、幕下恵那司の2年間出場停止、竹縄親方(元幕内春日錦)の2年間停職(3)谷川親方(元小結海鵬)の退職勧告―となった。

 引退勧告は八百長の処分規定で、除名に次ぐ重い処分。相撲協会は対象者に、5日までに引退届を出すように求め、応じなければ一般の賞罰規定に基づく解雇など、より厳しい処分を科す方針だ。千代白鵬については引退届を受理。恵那司も引退の意向を示し、関係者によると、竹縄親方は既に退職の意思を固めている。

 弟子が八百長に関与したとして北の湖(元横綱)九重(元横綱千代の富士)陸奥(元大関霧島)の3親方が理事を辞任した。この3人を含む17人の師匠を降格処分とした。相撲協会の責任として放駒理事長(元大関魁傑)が2カ月で30%のほか、理事ら幹部の報酬の一部自主返納も決めた。

 特別調査委によると、幕内蒼国来と十両星風の2人にも関与の疑いがあり、継続調査を行う。携帯電話のメール解析を待ち、今月半ばをめどに最終的な結論を出す予定。

 この日は早朝から特別調査委が処分案をまとめ、臨時理事会で検討。処分対象者に弁明させた上で処分を通告した。千代白鵬と仲介役の恵那司はともに「本当に申し訳ありません」と謝罪した。そのほかの力士らは八百長関与をあらためて否定し、谷川親方は法的手段に訴える可能性を示唆した。

 ▼放駒理事長(元大関魁傑)の話 現時点でやれることは全部やっていただいた。本当に重たい処分。大変残念だ。(八百長は)認めざるを得ない。自分たちの仲間なのにこれだけの人数を処分しなくちゃいけない。相撲協会のモラル、良識が問われている問題だ。

 ▼伊藤滋座長の話 問題のおおよその概要がつかめた。まだ携帯電話などの調査が残っているが、大勢に影響はしない。4月半ばまでに終えて、特別調査委員会を解散したい。協会自体の責任も重いが、これは協会が判断すること。具体的な(処分の)提案はしていない。

 ▼吉野準委員の話 彼らの主張と綿密な調査をしている特別調査委のどっちを信用するかと言えば、文句なしで調査委だ。(訴えられても)協会としては受けて立つ。

 ▼村上泰委員の話 力士生命を奪う非常に重い判断だった。裁判所でも(協会側が)耐えられるくらい、しっかりした判断をするというスタンスをとった。証拠は限られ、力士の供述に頼らざるを得なかった。

 ▼深沢直之委員の話 (竹縄親方の聴取は)8回以上やった。他の人は4~5回。決して(八百長関与を)認めた数人が悪の中心人物というわけではない。(23人以外にも)裏が取れなくてシロになった力士もいた。

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2011年4月1日のニュース