協会解散、国技館没収?「公益法人」剥奪も…

[ 2011年2月4日 06:00 ]

部屋を出てタクシーに乗り込む恵那司

大相撲八百長メール問題

 大相撲の八百長メール問題で新事実が発覚した。竹縄親方(元幕内・春日錦)、十両・千代白鵬(九重部屋)、三段目・恵那司(入間川部屋)の3人が八百長関与を認めたことが明らかになり、新たに幕下・霧の若(陸奥部屋)の関与も判明した。八百長の存在は否定できないものとなり、高木義明文部科学相らは現行の財団法人認可取り消しの可能性を示唆。日本相撲協会は解散、両国国技館などの財産没収の危機に陥った。

 八百長メール問題は新たな局面を迎えた。高木文科相が3日の衆院予算委員会で、同日朝に日本相撲協会の放駒理事長(元大関・魁傑)から「名前が挙がっている(13人の)力士らのうち3人が八百長に関与したことを認め、新たに1人の力士の名前が挙がっている」と報告を受けたことを明らかにした。

 関係者によれば、2日に行われた12人の力士、親方への事情聴取で、竹縄親方、千代白鵬、恵那司の3人が八百長関与を認めた。恵那司はこの日、入間川部屋前で報道陣に「(関与を)否定はしません。また話します」と話したが、八百長の仲介役だったことも判明した。さらに千代白鵬は、八百長をした対戦相手として幕下・霧の若を挙げたという。放駒理事長は、3人が関与を認めたことに対し「本当かどうかはこれから調査をしなければいけない」と話したが、疑惑は“底なし”の様相を呈してきた。

 その余波を受けて、フジテレビは6日の大相撲トーナメント、NHKは11日の福祉大相撲(いずれも両国国技館)を中止すると発表した。本場所開催にも影響が及ぶのは必至。ある有力親方は「とてもじゃないけど春場所どころではない。春場所以降のことも考えられない」と話した。調査を完了し関与力士の処分を終えてファンの信頼を回復してからでないと開催は困難。春場所(3月13日初日、大阪府立体育会館)どころか無期限の本場所中止も考えられる。

 また高木文科相は、現在の相撲協会の財団法人認可取り消しについて「あり得る」と明言した。枝野幸男官房長官も「事案が重大なので、可能性としてはあり得る」と述べた。財団法人の認可が取り消されれば、税制面での優遇措置がなくなるだけでなく、内部留保金などの財産も返上しなくてはいけない。所有している両国国技館の土地や建物も没収され、いったん組織を解散しなければいけない。

 さらに枝野氏は、公益法人制度改革に伴い相撲協会が公益財団法人の認定を目指していることに関しても「八百長がまん延している法人であれば、公益認定を得るのは難しい」と認定は困難との認識を表明した。認定を受けられなかった場合、一般財団法人として存続する選択肢もある。他の格闘技団体と同じように株式会社などの形態で興行を行うこともできる。しかし、協会の運営は苦しくなる。いずれにせよ「国技」としての権威は失墜し「聖地」を失う。大相撲が史上最大の危機に瀕(ひん)している。

 ▽公益財団法人 公益法人改革により、旧来の財団・社団法人は一般財団・社団法人または公益財団・社団法人に移行。08年に新法が施行され、13年11月末までに各法人は新法人移行を完了することが決まった。一般財団・社団法人は法人税の優遇措置がなく、登記だけで法人格を得られるが、公益財団・社団法人は認定委員会の厳しい審査をパスする必要がある。日本相撲協会は公益財団法人を目指している。

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