“アネキ”40歳鬼沢 463戦目初V王手!

[ 2010年8月29日 06:00 ]

<ニトリレディスゴルフ2日目>9番ホール、アプローチショットを放つ鬼沢。10アンダーで単独首位に浮上

 女子ゴルフツアーのニトリ・レディース第2日は28日、北海道苫小牧市の桂ゴルフ倶楽部(6523ヤード、パー72)で行われ、プロ21年目、40歳の鬼沢信子(フリー)が自己ベストスコアをマークしてツアー初優勝に王手をかけた。8バーディー、1ボギーの65で回って通算10アンダーとし、92年のヨネックス・レディース以来、18年ぶりに最終日を首位で迎えることになった。2打差の3位に諸見里しのぶ(24=ダイキン工業)、馬場ゆかり(27=フリー)がつけた。

【第2R成績


 難度の高い17番パー4。鬼沢がこん身のパーセーブを見せた。右に大きく曲げた第1打は、幸運にも木に当たってラフに落下。そこから花道まで運ぶと、第3打をピンまで1・5メートルに寄せた。パーパットをねじ込んで出たのはカップを右手で指すポーズ。「遼君ばり?あれはタイガーのイメージ。タイガー・ウズ子でやってます」と笑わせた。
 ティーショットをバンカーに入れた16番パー3と合わせ、終盤のピンチを連続でパーでしのぎ、自己ベストの65。前半は6バーディーの30で回る猛チャージを見せ、7位から一気に浮上して18年ぶり2度目となる首位での最終日を迎えることになった。
 シード選手では42歳の斉藤裕子に次ぐベテランで、9月17日には41歳となる。90年のプロ入り以来、賞金ランクは00年の23位が最高。何度もシード落ちを味わいながらも「プロになってあらゆる競技で一度も休んだことがないのが自慢」と胸を張った。1メートル70、65の恵まれた体で平均飛距離は250ヤード。中学卒業後は女子プロレスの新人オーディションを受け最終選考まで残った逸話も持つ。「DNAに感謝」と言うが、「朝青龍と白鵬の横綱2人のお尻の上がり具合にビビッときた」と3年前から毎日、しこを踏んで股関節の可動域を広げるなど、今なお体を鍛え続けている。
 試合のなかった3週間前に椎(つい)間板ヘルニアを患い「初めて腰を悪くした」が、懸命の治療で試合には間に合わせた。意識しているスポーツ選手は1つ年上のプロ野球、阪神の金本知憲。ケガをおして出場にこだわる姿勢に「アニキは尊敬してます。パンチありますよね。私はアネキで行きますよ」と女子ゴルフ界の“鉄人”を自ら襲名した。
 最終日は史上最長の463試合目、史上3番目の高齢となる40歳346日での初優勝が懸かる。「今週は良いチャンスなので思い切りやる。自分の心と勝負」。一度も逃げることなくゴルフと向き合い続けたプロ21年生。アネキが最後の18ホールに持てる技と経験のすべてをぶつける。

 ◆鬼沢 信子(きざわ・のぶこ) 1969年(昭44)9月17日、東京都北区出身の40歳。北区立桜田中卒業後、栃木・那須GCの研修生となり、90年10月にプロテストに合格。ドライバーの平均飛距離は250ヤードで、97年のNEC軽井沢72などレギュラーツアーでは2位が最高。ステップアップツアーでは05年に1勝している。生涯獲得賞金は87位の1億8660万141円。1メートル70、65キロ。血液型A。

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