一夜で撤回!?“造反”安治川親方ドタバタ元サヤ

[ 2010年2月4日 06:00 ]

前日の退職発言を撤回し、頭を下げる安治川親方

 1日に行われた日本相撲協会の理事選挙で貴乃花親方(37=元横綱、スポニチ本紙評論家)に投票し、責任を取って退職する意向を示した安治川親方(36=元幕内・光法、本名・峯山賢一、宮城野部屋)が一転、協会に残留することを表明した。立浪一門の重鎮、友綱理事(57=元関脇・魁輝)らが必死の慰留工作を行い、退職届の提出を見送り。3日夜に友綱親方と会見し、退職の意向を撤回した。

 2日深夜の緊急会見から一転、安治川親方が協会に残る考えを表明した。この日午後8時から両国国技館で友綱親方と会見。「このたびはご迷惑をかけて申し訳ありません。協会にも深くおわび申し上げます。今後は友綱親方、伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)と話しますが、協会に残らせていただきます」。淡々と語ったのは、前夜とは正反対の内容だった。
 安治川親方は2日朝の立浪一門の会合で、理事選で一門の総意を無視して貴乃花親方に投票したことを明かし、しっ責された。もともと伊勢ケ浜部屋所属の幕内・安美錦から「安治川」の株を借りている身。立場の弱い状況にもかかわらず、二所ノ関一門を離脱してまで立候補した貴乃花親方に「この人だったら協会を変えてくれる」と感銘を受け、当初投票する予定だった大島親方(元大関・旭国)を落選させてしまった。一門に迷惑をかけたとして、責任を取る形で相撲協会に退職届を出すことを公表した。
 想定外の大胆行動に、立浪一門は慌てて慰留工作に乗り出した。一門から対応を一任された友綱親方は早朝に宮城野部屋を訪問。「(昨晩は)自分の責任感から独力で自分の考えを申しました」と話した安治川親方に対し、「まずは師匠の宮城野親方(元十両・金親)とじっくり話をしろ」などと説得した。午後にも2人で話し合い、「辞めたかったわけではない」とする安治川親方に「それなら協会に残って勉強し直したらいい」と言葉をかけ、予定されていた協会への退職届提出を思いとどまらせた。友綱親方は安治川親方の処分を否定。一門の規律に厳しい角界では異例だが、「年寄名跡を返せとかいう話にはなっていない」と一門残留を認める方針も明言した。一門内のもう一人の犯人捜しも行う予定はないという。
 大きな騒ぎに発展した「安治川問題」は結局、元のさやに収まる形で終結した。それでも安治川親方は、貴乃花親方への投票を「後悔していない」と明かし、2年後の理事選についても「貴乃花親方が今後どうするかで考える」と言い切った。友綱親方は「まだ一門や借株がどういうものか分かっていない。そのへんのことは分かってくるだろう。一門というものをきちんと教えていかなくてはならない」と話したが、一親方の勇気ある1票が、相撲界を運営してきた一門制度に風穴を開けたことは事実だ。

続きを表示

2010年2月4日のニュース