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【芝浦工業大学】伝統工芸をリデザインした食品収納箱が商品化

[ 2016年1月21日 05:30 ]

「桐CUBE」コーヒーキャニスター
Photo By 提供写真

 芝浦工業大学(東京都江東区/学長:村上雅人)デザイン工学部デザイン工学科の学生が、1900年(明33)創業の関根桐材店(埼玉県本庄市/4代目主人:関根紀明)と共同で、国産桐の材質の特性と伝統ある細工の良さを生かした米びつとコーヒーキャニスターをデザインし、職人の手により商品化された。

 今回、産学連携により伝統と技術力に学生のデザインを加えることで、日本の心を表現する伝統工芸を現代の生活にマッチさせ、新たな価値とライフスタイルを生み出すものづくりに取り組んだ。伝統的産業の活性化を目的に、今後は国内だけではなく海外市場への展開も期待される。

 日本人は古来から、美しい木肌で防湿性や防虫性に優れた性質を持つ桐を生活の中で使用してきた。隙間なく密閉する工作の技が光る桐箱は伝統工芸品として親しまれてきたが、ライフスタイルの変化とともに需要が減少している。さらに、現在国内で流通する多くの桐材は防腐剤や漂白剤などの薬剤を使用した輸入材となっている。そこで、国産桐の良さを再提案し産業の活性化を図るため、関根桐材店から相談を受けたデザイン工学科プロダクトデザイン領域の増成和敏教授の指導の下、学生9人が現在の暮らしにマッチした新商品の開発に取り組んだ。

 2015年5月から、桐の特徴や桐工芸の歴史などを学びながらアイデアをまとめ、8月にはデザインコンペを行った。採用されたプロダクト案は、美しい木目を惹き立たせるミニマムなデザインに、全体を引き締める三角形のモチーフが特徴。職人による手作りの桐箱は密封性が高く、ふたの方向が違うと閉まらないため、重要な目印としての役割も付加した。

 関根桐材店と打ち合わせを重ね、新規性のあるデザインと伝統的な制作手法の調整を図り商品の形を決めた。11月には「ニッポン全国物産展2015」で試作品を出展し、「機能性とデザイン性を両立させた普遍的なデザインで、“感謝の気持ちを籠める箱”というコンセプトがギフトに最適」などの反響があり、12月に商品化が実現した。

 現在は関根桐材店にて受注販売を行っており、今後は百貨店など国内をはじめ海外でも新たな販路開拓につなげていく予定。芝浦工大としても、引き続き地域産業や伝統産業と連携し、その活性化に寄与していく。

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