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こだわり旬の旅

【栃木・日光&栃木】異国情緒たっぷり 家康公ゆかりの地もう1つの顔

[ 2016年11月2日 05:35 ]

白亜の洋館を思わせるJR日光駅

 東照宮で代表される日光(日光市)に、もう一つの顔があった。国際観光都市。JR日光駅に大勢の外国人観光客が降り立てば、奥日光の中禅寺湖畔ではイタリア大使館別荘に次いで今夏、英国大使館別荘が一般公開され大人気。ほかにも洋風の近代建築が各所に建ち並ぶ。今春、江戸料理を提供し始めた栃木市と合わせ、栃木県の2つの歴史ある町を訪ねた。

 100年以上の歴史を持ち、木造2階建てのネオ・ルネッサンス様式といわれる日光駅。来年5月に運行開始するクルーズトレイン「TRAIN SUITE(トランスイート)四季島」の停車、18年春のデスティネーションキャンペーンなどに向け現在、改築中だが、そのホームに大量の外国人が降り立った。「乗客の9割が外国人。それも欧米人」(駅員)といい、「ここはヨーロッパ?」と見まがうほどだ。

 その雰囲気をそのまま移したようなのが、中禅寺湖畔の南岸にある英国大使館別荘記念公園。園内の建物は英国の外交官で明治維新に大きな影響を与えたアーネスト・サトウの山荘として1896年(明29)に建てられ、その後、英国大使館別荘として使われてきた姿に復元したもの。シックな黒の外壁が印象的で、1階ではサトウの生涯とサトウが愛した奥日光を、2階ではサトウが活躍した時代の英国文化をそれぞれ紹介している。

 展示物だけでなく館内からの眺望も抜群。1872年に初めて同湖畔を訪れたサトウも「絵のような湖」と表現したそうで、この日は小雨混じりの天候だったが、それなりに湖畔を霧が覆う景観は実に幻想的。特に2階のティールームで英国大使館直伝のレシピで作られたというスコーンとアフタヌーンティー(セットで1500円)を味わいながら眺めれば、英国の湖水地方にいるような気分だ。

 異国情緒はこれでとどまらない。隣にはイタリア大使館別荘祈念公園。こちらの建物は1928年(昭3)にイタリア大使館の別荘として建てられ、97年(平9)まで歴代の大使が使用していたもの。本邸と副邸があり、前者は床板や建具・家具などをできる限り復原し、杉皮の外壁と和洋折衷のスタイルが特徴。後者は往時の歴史を紹介する「国際避暑地歴史館」として整備している。

 さらに、北岸の二荒山(ふたあらやま)神社中宮祠の西には明治期、釣りを通して国際社交場の拠点としてにぎわった「西六番別荘跡地」、そのまた西には昭和20年代に国際避暑地の水辺リゾート施設の建物を復元した「中禅寺湖畔ボートハウス」などがたたずむ。日本の歴史が奥深く残る日光に混在する外国文化。そのギャップが新鮮で楽しかった。

 ▽行かれる方へ JR日光駅、東武日光駅からバスで約50分。車は日光宇都宮道路清滝ICから約35分。どちらの別荘も開館は4月1日~11月30日。観覧料各200円。問い合わせは日光自然博物館=(電)0288(55)0880。 

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