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こだわり旬の旅

【京都&大阪】こんな名所があったとは!通常非公開 古都のモダン建築を訪ねる

[ 2017年8月3日 18:33 ]

日本初のモダニズム建築といわれる本野精吾邸
Photo By スポニチ

 祇園祭や五山送り火など夏祭りにぎやかな京都だが、天文台や名建築、豪商の別邸など、普段未公開の文化財が9月末まで特別公開されている。見学するなら今がチャンス!と出掛けたが、確かにこれまで見ることのなかった貴重な施設や建物ばかり。足を伸ばした大阪でもクラシックカーの博物館など新名所に遭遇。新たな発見の連続に、連日の猛暑を忘れた。

 京都には何度も訪れたが、まだこんなに知らない名所があるとは思わなかった。それらを見学するために利用したのが京阪バスの定期観光バス特別コース。京都市観光協会が開催中の「第42回京の夏の旅」キャンペーンに合わせて運行しているもので、6時間ほどで回れるから便利だ。

 出発は午前10時、JR京都駅烏丸口乗り場から。まずは日本のモダニズム建築の先駆けとされ、大正から昭和にかけて活躍した建築家・本野精吾の「元自邸」へ。京都市考古資料館(旧西陣織物館)などの代表作で知られる本野が1924年(大13)に自ら設計して建てたもので、日本初のモダニズム建築といわれる。L字型が特徴の中村鎮(ちん)式コンクリートブロックをむき出しのまま使用した外観や玄関ポーチが印象的で、ブドウをデザインした暖炉など内部の意匠も見事だ。

 モダニズムの次はエキゾチックな「大雲院(だいうんいん)祇園閣」へ。織田信長・信忠父子の菩提を弔うため1587年(天正15)に創建された大雲院の境内にある祇園閣は、大倉財閥創始者・大倉喜八郎の別邸の一部だったもので、建築家・伊東忠太の設計による昭和初期の名建築(国登録有形文化財)。祇園祭の鉾(ほこ)をモチーフにした高さ36メートルの閣上からは、京都市内の360度の眺望が楽しめる。

 最後は東山連峰の山中に建つ「京都大学花山天文台」。京都に天文台は不似合いな気もするが、1929年(昭4)に日本で2番目に設立されたというレジェンド。それも直径9メートルのドーム施設の本館には国内3番目の大きさの口径45センチの屈折式天体望遠鏡が設置され、現在も天文学の研究の場として観測が続けられている。また、開設当初に建てられた歴史館(旧子午線館)では貴重な天体観測資料を展示。天体ファンならずとも楽しめる。

 途中、名造園家・7代目小川治兵衛の庭園に“近代建築の父”武田五一設計の数寄屋造りの建物が残る「白河院」で、松花弁当の昼食。祇園閣に近い「湖月茶屋」では、明治以降、関西圏で親しまれたというひやしあめで一服。関東では珍しい京料理とスイーツも味わうことができ、満足の日帰りバスツアーだった。

 ▽行かれる方へ ツアー料金は9000円。東本願寺飛地境内地渉成園「蘆菴」などを回るコース(9300円)も。文化財の個別見学料は600円から。問い合わせは京都市観光協会=(電)075(213)1717、京都定期観光バス予約センター=(電)075(672)2100。

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