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こだわり旬の旅

【宮城・南三陸】大震災7年目…復興へ力強く歩む商店街、教訓伝える語り部たち

[ 2017年7月4日 20:05 ]

3月のオープン以来、大人気の南三陸さんさん商店街。復興の象徴だ
Photo By スポニチ

 東日本大震災から6年余。3月掲載の福島県に続き、被災地の宮城県南三陸町を訪ねた。復興へ向けて震災後に生まれ、仮設商店街として営業してきた「南三陸さんさん商店街」が今春、移転先に本格オープンすれば、震災を風化させまいと被災者が語り部になって現場を案内。震災の爪痕はまだ残るものの、彼らの表情は商店街のキラキラ丼のように輝いていた。

 東日本大震災で死者620人、行方不明者212人、建物被害3321戸を出した南三陸町。その中で常に復興をリードしてきたのが、震災から約1年後の12年(平24)2月に地元商店が集まり、仮設商店街として営業を開始したさんさん商店街。その本設が高台から志津川湾沿いに移転、3月にオープンしたのだ。

 約2万平方メートルの敷地には、20年東京五輪の新国立競技場のデザインを手がけた建築家隈研吾さんデザインの6つの店舗棟とフードコート。いずれも「美人杉」といわれる南三陸杉が使われ、新鮮な魚介類をそろえた鮮魚店や地元食材を使った飲食店をはじめ青果店、土産物店、電気店、文具店、理髪店など28店舗が軒を連ねる。

 その中で人気は町のブランドグルメ「南三陸キラキラ丼」。四季に応じて南三陸産の新鮮な海産物がたっぷりのせられた丼で、参画12店舗中5店舗が商店街で営業。その一つ「弁慶鮨」で「キラキラうに丼」(8月31日まで、2500円)を注文したが、磯の香りと甘みで口の中がとろけそう。見た目、味わいともまさにキラキラだ。

 「3月の土日曜日には1日約1万人の来客があって上々の出足。ただ、ウチも震災で8店舗が流されたし、これからがスタートだよ」とは山内鮮魚店の山内正文社長(68)。笑顔の中にも今後に向けて表情を引き締めるが、復興にかける思いはNPO法人「びば!!南三陸」代表理事の鈴木清美さん(60)も同じだ。震災を風化させまいと地元の「南三陸ホテル観洋」が始めた「語り部バス」(約1時間、500円)のガイドを担当。「被災した建物や頑張っている被災者を実際に見て知ってもらうことで震災の教訓になるし、復興にもつながる」と力を込める。

 早速バスに乗って、鉄骨だけが残された防災対策庁舎、午後2時49分で時計が止まったままの戸倉中学校、住民の避難場所となったベイサイドアリーナなどを回ったが、地震と津波の恐ろしさをあらためて知らされる一方、その周辺で働く人たちに触れて勇気と感動をもらったのも事実。ホテル観洋に宿泊した翌朝、海に面した露天風呂から見た鮮やかな日の出は、南三陸の姿を象徴しているようだった。

 ▽行かれる方へ 東北新幹線仙台駅で東北本線、小牛田駅で気仙沼線にそれぞれ乗り換え、柳津駅からBRTバス。車は三陸道志津川IC利用。問い合わせは南三陸町観光協会=(電)0226(47)2550、南三陸ホテル観洋=(電)同(46)2442。

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