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美形ヒメマス舞う 彩りの本栖湖 “秋の陣”美味&引き味最高!

[ 2016年11月8日 05:30 ]

霧の中から「来たぞー」の声                               

 ◎1投目から20センチ級がW
 視界は20メートルほどか。午前7時、濃霧の中を50隻のボートが沖に向かってスタートして行く。竜ケ岳の山裾に沿って浮かぶ着船用のブイは30個、早い者勝ちである。マイ・アンカー持参の筆者は最後尾からゆっくりと…。

 仕掛けをセットする手がもどかしい。もう魚探の画面にはタナ35メートルに良い反応。慌てて下ろした1本目の竿先が激しく揺れ、やがてピーンと真っすぐに、食い上げである。画面の群れは大きい。2本目を下ろしながら取り込むと20センチ級のダブル。3本目も早く、と気が焦る。ヒメマス釣りの醍醐味(だいごみ)である。

 いきなりのフィーバーが終わって初めて周囲を観察すると視界は少し開けて50メートルぐらい。秋の化粧が美しい竜ケ岳の急斜面が雲の中へと突き上げている。

 「来たぞ。40メートル!」

 3隻が連なったお隣さんの興奮した声。やがて、こちらの竿にも次々に当たり。この調子だと2、3時間で制限の30匹に達しそうだ。実際、過去には午前10時前に船着き場に戻り、漁協員に「正直者」と揶揄(やゆ)されたこともあった。

 ◎20センチ前後28匹で納竿
 そんなこともあって、この日は時間稼ぎ?の秘策を用意してきた。ニジマスのルアー釣りである。ヒメマス釣りのアミコマセに集まるニジマスは水深10メートルほどの上層にウヨウヨ。水面にナブラが出るようなときはキャスティングで。魚探に映るようなときはスプーンのバーチカル・ジギングでもヒットする。いきなりの50センチ級は超美形だったが、ネットを使わずに撮影しようとしてバラシ。それでも30センチ前後を10匹ほど釣り、おいしそうな3匹を持ち帰り。

 肝心のヒメマスは日が高くなるとタナが45~50メートルと深くなり、回遊もポツポツに。20センチ前後を28匹釣って正午すぎに竿を納めたのには実は、やんごとなき理由があった。

 朝、弁当と氷を買う予定だった鳴沢村のコンビニが工事で閉店中。やむなく3個持参した冷凍コマセのうち1個を保冷用に使ったために“弾切れ”となり、腹ペコも重なってこの日も“正直者”になったのだった。

 午後からは冬季のモンスター・トラウト狙いのための個人的な情報収集活動。まずは本栖湖漁協の新組合長・伊藤正一さんに近況を聞き、次いで「そば処・本陣つかさ」に渡辺浩司さんを訪ね、大物釣り情報を聞く。渡辺さんは“本栖湖モンスター”関連のブロガー、長年の情報源である。

 最後に訪れたのは1980年代に60センチブラウンをゲットした思い出のポイント・長崎の鼻。ニジマスがいま「沖へ出張中?」なのを知ってか知らずか、ルアーマン2人が手持ち無沙汰の様子。

 そう、本栖湖モンスターの本番はヒメマス禁漁後の12月からだ。楽しみは「冬の陣」にも。

 ▼釣況 本栖湖漁協=(電)0555(87)2036。ヒメマス入漁料3150円、ボート(予約優先)1日2500円。ニジマス入漁料は800円。

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