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新旧“華麗”に競演 「次はヒラメ」衰えぬ意欲

[ 2018年2月27日 09:48 ]

野沢さんは3匹目の35センチで船別賞
Photo By スポニチ

 【おじゃま虫ま〜す】幻の江戸前小物釣り復活を目指し東京湾遊漁船業協同組合が地道な活動を続けている。18日に行われた江戸前釣り大会「カレイ釣り2018冬」におじゃま虫ました。(スポニチAPC 町田 孟)

 今年で14回を迎える大会には組合18店舗のうち、12軒15隻が集合。東日本釣宿連合会からも第二泉水、吉久、吉野屋、中山丸、ミナミが名を連ね、参加人数は過去最多の268人となった。

 東京湾のカレイ、ハゼ、アナゴなど伝統的な釣りがここ数十年不振だ。原因は諸説あり定まっていない。組合の飯島正宏理事長は「無駄な取り組みのようでも見守ることで意識付けをしていきたい」。江戸っ子の心意気。昨年から稚魚の放流も始まった。わずかな兆しとも言えよう。

 当日のミナミの2号船。左舷をふと見ると異質な姿があった。ノースフェイスの防寒コートにスキニーなパンツ。ダブダブのニットキャップ、ネックウオーマー。街をそのまま歩いていても何の不思議はない。おじさんのザ・釣りスタイルとは明らかに違う。

 小中智博さん(34=大田区)はフリーランスでサイバー系の仕事についている。2年前、たまたま住んだところが南六郷で船宿から「歩いて5分」。カレイの船に乗るのは初めてだ。たまたま「江の島の投げ釣りでカレイを釣って刺し身にしたらものすごくおいしかったので」。ぜひもう一度と挑戦した。「魚は刺し身以外興味ないので」。たまたまが重なって目覚めた。今では月に1度は通う。

 これまでマゴチ、アマダイ、アジ、タチウオなどを狙った。ただタチでは「テレビでパーッと抜き上げているでしょ。格好いいのでまねしたら、船べりでポロリ」。やっと掛けた生涯初を口切れで逃す悔しさも味わった。自ら魚をおろして酒のさかなにする。「料理の腕はムチャ上がった」。教科書は「ユーチューブ」。

 乗合船で「おっちゃんたちが、ストロングをキューッとやりながら竿を握る姿は楽しそう」。自分の将来を重ね合わせるともいう。この辺りはやけに老成している。不思議なバランスだ。

 成績は、食い渋りもあってオデコを食らった。「スーパーで大根の千切りを買っておいたのに」。恨めしさは残る。めげることなく「来月はオニカサゴに挑戦」。深くて長い釣り師の道がスタートした。

 よちよち歩きの青年の背後にはキャリア40年を超すベテランがいた。同じ大田区の野沢忠義さん(78)だ。「毎週土曜日」が釣行日。前の週は「パラソル級のヤリイカを20匹ほど」。

 カレイは今年初めて。「20年前はバンバン釣れたんだけどねえ」。ぼやきつつ小さな当たりを見逃さず3匹目に35センチで船別賞だ。「来週はヒラメを狙う」。まだまだ意欲は衰えていない。

 新旧同舟。それぞれの思いが交差していた。

 1ミリ差で大会を制したのがミナミの別船に乗船した川崎市の嶋崎正人さん(48=会社員)だ。それも「1匹だけ」だったから、持っている。45センチは肉厚でヨダレが出そうな体形。クロダイを狙う「チーム本牧アングラーズ」のメンバー。仲間の羽山修さん(51)、野口和也さん(45)=共に大田区、会社員=と参加。「3人で宴会!」。笑いが止まらなかった。

 ▼参加船宿 中山丸、ミナミ、かめだや、かみや、まる八、いわた、吉野屋、第二泉水、入船、吉久、岩田屋本店、内木丸

 ◆大会成績(カレイ1匹の全長、単位センチ、同長の場合は重量差)(1)嶋崎正人45・0(2)堀尾忠教44・9(3)大塚光隆44・3(4)安田秀仁44・0(5)篠原素経津44・0 =敬称略=

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