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テンカラ愛でヤマメ攻略 亡き恩師が伝授 衝撃的かつシンプルな技

[ 2018年2月17日 07:08 ]

テンカラ釣りはより正確なキャスティングを要求される
Photo By スポニチ

 【渓流釣れ釣れ記】2月の声を聞くと渓流マンの心に水音がし始める。今年は豪雪情報ばかり、春は遅くなるかもしれないが、水音は大きくなっている。恒例の釣り仲間の新年会は間もなくだ。(スポニチAPC 綾部 丹堂)

 渓流釣りへの道はさまざまだが、水の流れから考えると下流からと、上流からの2通りある。

 下流からが一般的で、小ブナ釣りしかの里川の釣りから、上流に向かい、ハヤ釣り、ヤマメ釣り、やがて最上流のイワナ釣りとなる。

 一方、あまり多いケースではないが、上流のイワナ釣りから下ってきて里川のヤマメ釣りなることもある。山歩きから渓流釣りに入ると、こうなるようだ。

 少年時代から山歩きに親しんできた、筆者は後者になるだろう。

 上流のイワナ釣りから始めると、釣りの繊細な技術よりも、イワナのいる場所へたどり着く技術が優先する。

条件が良ければ、幻の大イワナに出合うことも可能なのだ。

 こんな幻の大イワナの世界から渓流釣りが始まったが、里ヤマメの世界に下ると、もう一つの渓流釣りに出合うことになった。

 多くの釣り人に攻められ、用心深くなったヤマメを釣るための繊細な技術を必要とする世界である。そこで、「毛バリ釣り」という言葉に出合った。

 当時、毛バリ釣りは憧れになったが、実際に毛バリを使う釣り人には出会えなかった。

フライフィッシングが一般的ではない時代である。

 毛バリ釣りに取り組むことになったのは、縁あって桑原玄辰氏に出会ってからである。

 その実際の技は今も忘れられぬ衝撃だった。

 氏により1978年(昭53)、著書「毛バリ釣りの楽しみ方」が刊行されていた。

 そのころ、和式毛バリ釣りを「テンカラ」と呼ぶのが定着してきていた。

 それからの、桑原氏との関係は、師弟の枠を超えて、氏が亡くなるまでの長いものになった。

 今は、氏と共有してきたテンカラの基本は、できる限り語り残していきたいと思っている。

 記述しておきたい。

竿は3メートルから3・3メートルくらい。ラインはテーパーラインで長さは竿と同寸が基本。ライン重量は毛バリをポイントに運ぶに足りる最小限の重さのバランスのよいもの。

 キャスティングはピンポイントで正確にポイントを狙う精度を要求される。

 ポイントに対する感覚は、ピンポイントで毛バリを打ち込み、毛バリを流す距離は1メートルくらいと考える。

 毛バリを流す状態はナチュラルというよりも、作為的に操作する傾向である。合わせは、魚が毛バリをくわえたタイミングでの早合わせとする。

 毛バリは、特定の昆虫を模したものではなく、象徴的な、ハックルに胴といった、シンプルなもので、種類もあまり多くを考えない。

 ドライ、ウエットなどの垂直方向の位置にはとらわれず、打ち込んだ毛バリが目視できる状態をキープすることを基本に考える。毛バリの位置のキープは浮力ではなく、ライン操作で行うということになる。

 まずは魚の出るポイントを見定め、狙ったポイントに毛バリを正確に打ち込み、毛バリを凝視、出た魚を瞬時に掛ける。これが一連の動作で、非常にシンプルなものである。

 そして、シンプルだがけっして易しくないところが、面白く、奥が深いテンカラである。

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