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“コイ”つぁ〜縁起良い74センチ 我が家の開幕戦は多摩川でフライ

[ 2018年1月13日 18:48 ]

初ものキャッチはいきなり74センチ。初詣のおみくじが末吉だった次男・尚樹は「これで大吉以上だ!」と大喜び。左は筆者
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】我が家の初釣りは1月2日。真冬にフライフィッシングでコイ。

 それは振り返ること約30年前、私の師匠でもある故・西山徹氏からのお誘いで始まりました。

 「奥山君、来年の初釣りは多摩川でコイを釣ろう」。当時、私がコイ釣りに対して持っていたイメージは、ドロンと濁った川でやるものでした。

 「フライロッドを持っておいでよ、6番ぐらい」という西山さんに「え、コイ釣りをフライですか?」と疑いをかけましたが、西山さんはニヤッと笑って「まあ、来てごらんよ」と言いました。

 待ち合わせの場所に行き、川原へ下りるとそこには驚きの光景がありました。コイが水面でパクパクやっているのです。多摩川の水も思っていたほど汚れていないで川底が見えるほどでした。

 西山さんが早速、フライを振ってヒットさせ、フライリールを逆転させてドラグ音をうならせたときにはさらに驚きました。

 「コイってこんなに引きが強いのか」と。それから多摩川のコイ釣りにハマりました。

 結婚して子供ができ、一緒に釣りをするようになった時、大物釣りにはコイを選びました。支流の浅川は文字通り浅く、子供たちも安全です。多摩川から差してくるコイの平均サイズも60センチぐらいですからとても良い相手です。

 通常のコイ釣りは食いつくのを待って釣る受動の釣りですが、私たちは誘い出して食いつかせる能動の釣りをします。こちらの方がよりアクティブで、攻略的な釣りが楽しめます。

 もちろんパンを餌に釣ることもできますが、それは簡単すぎてテクニカルではありません。息子たちも幼少の頃は餌釣りをしていましたが、今ではフライフィッシングのみです。

 午前11時から釣り開始。コイのいる場所は大概決まっているのですが、工事や大水でそのポイントがなくなっていることもしばしばで、そんな時には実際に川を歩いて魚を見つけなくてはなりません。昨年末に目星を付けておいたポイントには別の家族が先に釣りをしていたので、川岸を歩いて魚を探しました。

 魚を見つけたら細かく切ったパンをまいて誘い出します。反応したらそれをパンそっくりのフライで釣るのです。

 フライは偽物ですから上手に投げて自然に流さないと食いついてくれません。フライに向って浮き上がり、口を出すだけで見破って食いつかないコイもいてその姿が全部丸見えなのがとっても面白いです。

 フライロッドは9フィート6番。リーダーは9フィートでティペットは1・5号。強引に引くと切れるかもしれないというドキドキ感がたまりません。

 フライリールを逆転させながらやりとりし、ランディングはラバーネットを使います。コイは縁起の良い魚です。敬意を評して釣る魚を岸に引きずりあげてはいけません。感謝を込めて優しくリリースしたいものです。

 今年の1匹目は次男が74センチという大物をヒットさせました。このサイズは支流ではけっこうレアです。

 家内は69センチ。私も65センチを釣り、家族が健康で安全に過ごせますように願をかけてリリースしました。(東京海洋大学客員教授)

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