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マダコ 石垣島の海人 誇りの1匹!“ダイバー漁師”友情に応えた

[ 2017年11月28日 05:30 ]

「やっと釣れたさー」。平良さんは大型を掲げる
Photo By スポニチ

 【釣り日和】師走を前に各地でマダコが釣れ出した。茨城県那珂湊沖では2〜3キロ級交じりでトップが10匹超の日も。ヘビー級のテンヤで狙う。釣行した日は乗りもよく、那珂湊・仙昇丸の船上はマダコ祭りの様相!(笠原 然朗)

 タコは無脊椎動物の中で最も知能が高いという。その知能指数は人間の3歳児並みという学者もいるほどだ。

 “知性的”な生き物の攻略に使うのはマダコテンヤ。那珂湊沖ではサンマを1匹丸ごと結び、オモリは「その日の潮の状況によって120〜180号を使い分けます」と菊地寿澄船長は言う。水深は25〜30メートル。底をとったら根気よく小突き続ける。テンヤが底に張り付くような重量感を感じたらタコが乗った証拠。そこで一気に合わせる。

 この日は片舷流しで、左舷ミヨシから2番目で釣っていたのは練馬区の久保脇国博さん(65=会社経営)。東京湾でもタコを狙っているというベテランは1・5キロの良型を釣り上げた。

 久保脇さんが同行したのは隣席の平良正義さん(76)。茨城から約2300キロ離れた沖縄・石垣島の海人(うみんちゅ)=漁師=だ。島で民宿も経営しており、久保脇さんはその客だという。

 漁は、素潜りではなく酸素ボンベを背負って潜る「ダイバー潜り」で、捕っているのは「タコとか、寝ている魚ねー。50年になるよー。でも年だからそろそろやめる」。将来、孫が釣り船をやりたいと言い出したときに教えられるよう、久保脇さんに頼んで“研修”のため船に乗った。「こっちは寒いねー。島では扇風機使ってるさー」。

 タコの習性は知り尽くしている。だが“釣る”のは初めてだ。海人の誇りがそうさせるのか、平良さんは武骨な指に道糸を乗せて、黙々と極寒の海の底を小突き続ける。だが釣れない。

 海に生きる男同士、魂と魂が響きあったのだろう。菊地船長が付きっきりで教えている。その時、久保脇さんが痛恨のバラし。「ほら小突いて。こっちに来るよー」。菊地船長が平良さんにハッパを掛けるのと同時に「来たー」。納竿40分前に待望の1匹が菊地船長のタモに収まった。

 「何としても釣らせたかった」という久保脇さんから渡された“タコバトン”。老海人は誇らしげに掲げた。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、那珂湊・仙昇丸=(電)029(262)2010。集合は午前5時半。乗合料金1万円。マダコ船は12月いっぱい出船。

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