×

怪魚ソウギョ112センチ 15分激闘の果てに淡水魚自己最高記録

[ 2017年9月30日 10:13 ]

 【奥山文弥の釣遊録】怪魚と呼ばれる巨大魚、珍魚、深海魚という言葉に反応する人が多いらしいですね。

 友人の市川満さんから「でかいの釣れましたよ」と連絡が入ったのは8月末。118センチというソウギョを釣ったそうです。「え、いつから怪魚ハンターになったの?」と驚きましたが、「今がチャンスですよ」というので仕事を調整し、彼と一緒に利根川水系の中規模河川へ行きました。

 9月7日早朝、天気は曇り。市川さんが釣ったというポイントに行くと、川岸がざわついています。

 「バリバリッ!」と草を噛(か)む音がしています。姿は見えませんでしたが、波紋がたっています。捕食中のソウギョがそこにいるのです。ドキドキしながら仕掛けを流していきます。私たちの仕掛けは、ブッ込みではなく、見釣りです。「サイトフィッシング」とも言います。魚がいるのを見つけてから、そこへ餌を流し込むのです。

 ソウギョ釣りの餌は、河原の草を束ねたものやホウレン草の煮付けなどが一般的ですが、コイと同じようにパンを流すことで釣れることが分かりました。

 タックルは、シマノ「ブルズアイ」という5・3メートルのカゴ釣り竿に、リールは「ダイワトーナメントルビアス2500C」、ラインはサンライン「スーパーブレイド」8ポンド150メートル。リーダーはPE5号を50センチ、そしてナイロン5号を50センチ。ハリはがまかつ「小鯛」14号。白い玉ウキをつけ目印にします。

 流す距離は30〜50メートル。大型ソウギョはとても神経質ですから、手前でヒットしてくれません。パンをまいてもコイは寄りますが、ソウギョは来ないのです。最初に情報を聞いた時、フライでやってみたいとも思いましたが、この条件ではフライの射程に魚が入ってきません。

 午前9時。捕食音がする場所へ流すとやっとヒットしました。しかし引きが軽いです。それは60センチほどのコイでした。これを素早くリリースし、場所を変えます。

 時間はどんどんたって正午を回ろうとしていました。川の真ん中をゴミの入ったコンビニ袋が流れて行きました。「マナーの悪い人がいるな」とそれをみていると流れ行くその袋に何か大きな魚が近づきました。

 「奥山さん、今度は真ん中を流してみたら?」と市川さんの助言で、川の中央を流しました。下流50メートルほどの場所でウキ近くに大きな波紋が出て、すぐにウキが消し込みました。リールをオンにするとロッドがギューンとしなります。リールからラインが出て行きます。しかしこの段階ではまだソウギョかどうか分かりません。ラインが8ポンドなので魚に刺激を与えないようにゆっくり誘導すると上流へ泳いできました。手前10メートルほどまできた時、その大きさと顔から「ソウギョだ」と分かりました。ゆっくり、ゆっくりと引き寄せ、およそ15分の攻防で市川さんが差し出した巨大ネットに収まりました。112センチ、17・2キロという怪魚にふさわしいソウギョでした。この魚は私の淡水魚大物記録でもあります。

 ネットの中で暴れた時にはがれたウロコは持ち帰り、年齢を査定中です。この大きさになるのにいったい何年かかるのでしょう?(東京海洋大学客員教授)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る