×

新カサゴの煮付け 臭みない“男くささ” 甘み強いのがポイント

[ 2017年5月21日 08:00 ]

ビッグマウスだけど味はいいカサゴ
Photo By スポニチ

 【清水希香の釣って食べたい!!】カサゴの煮付けを食す。新方式でね。相模湾にシコイワシが入ってくると、カサゴ・ヒラメ狙いが楽しい。平塚・庄三郎丸からも連日おいしい便りが届く。しかも二兎(と)を追うけれど一兎も…ということはまずない。水深も浅く疲れないのもうれしい。 (スポニチAPC 町田孟)

 にわか生態学の開講。カサゴは根魚の代表格。いろいろ調べてみると結構面白いんだ。卵胎生。腹の中で育ててから産めば、卵をまき散らすより安全ってわけ。本能的危機管理術ってとこ。

 メスがナンパを待っている。うらやましいほどのオス環境じゃないの。かといって誰構わずじゃないらしい。オスは体を寄せOKとなればくるりと抱きつく。巻きつくといった方が正しいかも。「魚はエロい」(瓜生知史著、光文社新書)という本が手元にある。それによると「オスには海綿体の突起物がある」。カラー写真でそれらしいものが映っている。ウーン、形状はなんとも評しかねる。けれど、筆者の実写は説得力十分。タイトルからすると色モノみたい。でもね、読ませるし見せるし(写真がちと小さいが)生命は海から陸(おか)へ…進化論も納得しちゃいそう。いま話題の「うんこかん字ドリル」系かな。

 【釣戦】まずは小1時間、餌確保。配給されたサビキで生餌のシコをしこたま。基本的には根を攻める。仕掛けは宿特製の胴突赤・銀2本バリ。中村友紀船長(同僚の田中雅人船長とともに人命救助で16日、平塚署から感謝状が贈られた)=写真=のアドバイスは「餌が小さいから勝負は早い。早合わせ禁物だけど、どこが本当たりなのか見極めが大事だ。孫バリはいらない。ポンピングすると外れちゃうよ」。銀の下バリにサバの切り身をつければカサゴ対応。これで嘆きの“型見ず”はないわけさ。時折、黒メバルも交じって、無駄な時間はなかったな。

 【煮付けクッキング】まっ、王道ですが。昨年も煮付けたけれど、さらに覚えたコツで挑む。

 下処理をしたら表面に飾り包丁を入れる。さてここから。80度前後の湯に浸すか浴びせるかするんだ。目安は1リットルの熱湯に300ミリリットルの水。熱湯だと皮が破れてしまうから。湯あみさせた後、たっぷりの氷水で汚れを落とす。もちろん取り残しのウロコもさ。腹の中の水気も丁寧に拭き取る。これで塩をしなくても済む。

 煮汁は水3、酒2、しょう油1・5、みりん1の割合。好みによって砂糖で甘さ調整。このまま冷たい中に魚を入れる。温めておくのが一般的なのでちょっと驚きでしょう?中火でコトコト6、7分。落としぶたの周りに泡が出てきたら弱火にして2、3分でいったん魚を取り出す。煮汁にショウガを加え煮詰めてから戻し入れ汁をかけまわす。テカテカしてきたら頃合い。目からウロコ、魚の臭みもない。ウン、新・男の料理だ。

 平べったいはずがゴツゴツ姿の魚に化けて、ちょっぴり肩を落としていた家人。いきなりオスの頬肉に箸を伸ばした。「身がコロリ、ホロリ。やっぱ甘みが強い方がいい」。どうだ参ったか!

 胴の間で奮闘したのが田中克之さん(72=入間市)だ。「ヒラメよりカサゴの方が好きなんですよ」。言葉通り短竿を駆使してカサゴを次々に上げ9匹でトップ。おまけ?のヒラメ、メバルを加えて「晩酌のアテ」も豊富に。キャリアは50年余。アマダイやライトタックルもこなす。子供2人もとっくに独立し「孫は4人」。節子夫人(68)と2人暮らし。平塚通いは「月に2、3回くらいかな」。フリーの特権を楽しんでいる様子だった。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、平塚・庄三郎丸=(電)0463(21)1012。午前6時半出船、乗合料金9500円。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る