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餌釣り的中 希少イワナで貴重体験

[ 2017年5月13日 07:33 ]

尺イワナを釣った原野さん(右は筆者)
Photo By スポニチ

 ゴールデンウイークは東北へイワナの調査に出かけました。恩師・井田齊さん、この春弟子に加わった原野友貴さんと共に東北自動車道をひた走りました。

 原野さんは釣りガールとしては珍しくサケマス魚類が大好きで、自ら関西に希少イワナの探索に出かけたりします。つい先日、改訂新版が発売された井田さんとの共著書「サケマス・イワナのわかる本」(山と渓谷社)の愛読者でもあり、知り合ってすぐに意気投合したわけです。

 今回の探索は研究熱心な彼女の提案に私たちが乗ったものでした。

 東北の渓流は昔からエゾイワナの原産地です。学生時代もそうでした。ただし川によってはニッコウイワナや養殖のエゾイワナが放流されており、なかなか天然魚(遺伝子的に汚染されていない魚)を見つけるのは難しいとのことでした。漁協がしっかり管理して、放流もきちんとされている川なら釣り場案内ができるのですが、今回は希少魚を探すということで、あえて「東北の川」とさせていただきます。

 私はフライ、原野さんは餌釣り、そして井田さんは撮影と測定です。原野さんはいつもルアーで釣っており、のべ竿(がまかつ「がま渓流 彩蕗 硬中硬54」)で真剣に餌釣りするのは今回が初めてだということでした。最初はセル羽根目印を使っていたので、それを風の抵抗を受けにくいヤーンに替えてもらいました。道糸はスーパー渓流フロロ0・6号。ハリはがまかつナノヤマメ8号、餌はミミズを用意しました。

 初日の夕方、最初の川ではフライには出てきませんでした。しかし原野さんの竿を借り、フライを流して反応がなかった場所を「いないはずはない」と流してみると、すぐにヒット。それは昨年秋の経産魚でした。産卵した魚がいると分かった以上、探索に気合が入ります。自然繁殖している証拠だからです。

 最初こそ流し方に戸惑っていた原野さんは徐々にコツをつかみ、自然に流れるようになって魚が掛かり始めました。そして何匹目かめには変わった斑紋のイワナも釣りました。

 やっぱり餌釣りが強い、と再びロッドを借りてやってみると32・5センチというエゾイワナのオスも掛かってきました。フライではないけれどもうれしい大物です。

 2日目は私がフライで場所を荒らさないように先行し、餌釣りは後から付いてくるようにしました。雪渓が残っており、その上を歩いたり潜ったりは初めての経験でした。そんな冷たい川ですからドライフライ(水面に浮く)への反応は極めて少なく、やはり餌釣りは強烈に釣れました。

 私が散々フライを流した後、餌を流すと次々にヒットします。沈めなくてはダメなのかと、水中をニンフという水生昆虫を模したフライを流してもダメ。そのあとの餌で一発でなんてことも何度かあり、まだフライにはシーズンが早いのだと痛感しました。餌釣りで流すと釣れるのですから腕が悪いわけではないんだと言い聞かせました。井田さんにしてみれば測定するので数は多い方がいいのです。

 2日目は原野さんも尺イワナを釣り大喜び。沢の滝つぼでは、ほぼ無班のイワナも釣れてその希少性に井田さんも大喜び。2人の笑顔で私も幸せ。今回は餌釣りの威力を見せつけられました。全部リリースしてきましたから、資源の減少には影響ないと思います。次回は原野さんもフライで挑戦するそうで、これから夏に向けてが楽しみです。(東京海洋大学客員教授)

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