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雨上がり 仁淀ブルーに珠玉アナゴ

[ 2017年5月7日 08:46 ]

仁淀ブルーが美しい仁淀川水系の安居渓谷で
Photo By スポニチ

 時には遠くへ釣りに出掛けたいと思うことがある。東京にいれば東北への釣りは珍しくないが、思い切って、西へ出かける。そんなことも案外手軽になった。交通の便がよくなったおかげだろうか。四国の吉野川水系の桑瀬川、仁淀川水系の安居渓谷へ2泊3日の予定で釣行した。(スポニチAPC 綾部 丹堂)

 4月から5月にかけて、桜から新緑の季節に四国の渓流に出かけるのはこのところ数年の恒例になっている。伊予西条(愛媛県西条市)で生まれ、少年時代をそこで過ごし、長らく渓流釣りを趣味としてきた筆者には、少し時間が取れるようになってからの四国通いは、当然のこととなった。

 瀬戸内側の西条にも石鎚山を源流とする魅力的な加茂川水系があるが、何といっても雨量の多い高知側に圧倒的に多くの渓がある。中でも四万十川は清流として全国的に知られるが、実は四万十川に劣らない、もしくはそれ以上の渓流が存在するのである。

 そして意外なことに、これらの渓へのアプローチに西条を起点とすることが便利であることが分かってきた。西条から高知に向かうには寒風山トンネル経由になるが、この5・4キロと一般道路では珍しく長いトンネルの途中が愛媛県と高知県の県境になっている。トンネルを抜けたところが高知の渓で、初めに出合うのが吉野川の源流の一つ桑瀬川である。

 東京を朝の8時ごろの新幹線に乗り、西条に3時ごろに到着する。ここから車で30分も走れば桑瀬川で夕マズメの毛バリ釣りが楽しめることになるのだ。そして今回も、このコースで桑瀬川へたどり着いた。

 トンネルを出てから、2キロほど下流の道の駅、木の香温泉までは、道路から階段で渓へ下りることができる場所が何カ所かあり、アプローチは楽である。

 この清流で早速、テンカラの竿が曲がった。流れが一度まとまって、開いていく定番のポイントで、スピーディーに水面がはじけた。

 同行のF・Fマンの毛バリにも次々と小気味よくヒット、アマゴの鮮やかな朱点と巨岩を縫う澄み切った流れが釣り旅の初戦を、じわりと満たしてくれる。

 2日目は雨。一番の目当てだった、四万十川の支流群は、どこも増水、濁りで、結局は川ウオッチングでこの日は竿を納めることになった。

 坂本龍馬脱藩ルートの梼原(ゆすはら)の温泉にゆったりつかって、雨の釣りの無念と疲れを癒やすが、天気はいささか気掛かりである。夜半に激しい雨が降った。

 3日目の朝、雨は予報通り上がり、釣り日和と言いたいところだが、四万十川水系は、みんな大増水で、釣りにはなりそうにない。

 こんな時、近くの渓でちょっと希望の持てそうな情報にすがってみることになった。

 このところテレビで取り上げられたのがきっかけで、仁淀ブルーで話題になった、仁淀川支流の安居渓谷はそう遠くない場所である。

 清流で名をはせるだけあって、濁りづらい渓谷で、しかも増水、減水が早いというのである。

 あとはアマゴがいるかどうか、とにかく、車を走らせた。

 予想通り、仁淀ブルーは全く濁りなし、澄み切った流れである。水かさは高いが、明らかに減水が始まっている。そして、ライズまで見られるのだ。条件がそろっているのだ。しかし残念なことに、水が澄み過ぎる、トロリとした流れは、筆者のテンカラにはウイークポイントである。

 ここは遠投の利くF・Fに任せることにした。そして、見事にヒット、珠玉のアマゴが寄せられてくる。

 仁淀ブルーの渓が、最後にほほ笑んでくれた。いい釣りの後の帰路はまた西条経由となり、夜には東京に戻っていた。

 ▼釣況 仁淀川漁協=(電)088(893)2300。いの町本川漁協(吉野川上流)=(電)同(869)2777。

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