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うま伊ぞ ムギイカ ジェノベーゼペーストで春の3色炒め

[ 2017年4月30日 07:59 ]

プラヅノを抱いて上がってきたムギイカ
Photo By スポニチ

 【一釣一品 食べま専科】ムギイカを食す。走りですな。それにタケノコとキャベツ。春の3色炒めといこう。ジェノベーゼペーストを使ったイタリアンね。スルメ交じりの釣果がぽつぽつと聞こえてくる、腰越・飯岡丸に足を運んだ。 (スポニチAPC・町田孟)

 絶望的、壊滅的。何ともはや昨年からのスルメイカ不漁。1匹300円、いや500円以上も。さらにここへきて店頭から姿を消している始末。原因は諸説あるが実際のところは不明だ。それでも今季はコスルメつまりムギが昨年よりいいらしい。そこに望みを託すわけ。

 その昔、手釣りで20本ほどのナマリヅノを使っていた時代。わんさかと乗って腕がパンパンになったものさ。港へ着くと、たき火があって、浜の人がね「丸のまんま放り込みな!」。お言葉に従い、2匹ほどをポーン。2、3分もすると、プスプスッ。その音と香ばしい匂いが合図。アチアチ、フハフハやりながらかぶりつく。ワイルドだろ。古いギャグだけどまあ許して。やわらかいよりやわい。そして甘い。コゲや灰なんか押しのけちゃう。思い出は味覚に残る。

 素朴のうまさ、かな。化粧気もない日焼けの下に隠された白い肌にクラっときた感じネ。

 【釣戦】悲惨な一日になっちまった。出足はポンポンポン。ところが以後、必殺ピッカピカバリも無力だった。3度コツンという当たり。上げてみればマルイカの足先のみ。出るのはグチと歯ぎしりばかりよ。一品用はなんとか確保したが、いやはやもう。

 三浦徳人船長はここが駄目ならあそこと移動し続けた。「群れが底でじっとしたまま浮いてこない。元気なかった。もう少しすれば何とかなるはずだが」。お手上げ状態。心中を忖度(そんたく)するしかなかった。ムギちゃん春眠暁…だったのかも。

 【3色クッキング】胴からワタ、ゲソを外し筒切りに。出遅れていたタケノコもやっと手近になってきた。使うのは先の方。長さ4、5センチ、厚さ5ミリほどにカット。キャベツは手でちぎって。味が絡みやすくなる。

 フライパンのオリーブオイルが冷たいうちにニンニクのみじん切りを入れ、弱火で香りを移す。タカの爪も一緒に。ムギをさっと炒め一度取り出す。タケノコ、キャベツの順で炒め、ムギを再投入。家人がどこからか覚えてきた自家製ジェノベーゼペーストを加えて塩、コショウで味を調えれば立派なイタリアン。パスタにしてもよし。ワタを絡ませれば濃ゆーい一品だ。

 わが物顔で味見した家人いわく。「イカもタケノコもキャベツもぶつかり合っていない。何より私のソースが味をつないでいる」。ハイ、さようでござんすかい。

 ▼ジェノベーゼペースト バジルペーストとも。両手に山盛りのバジル、ニンニク1片、松の実30グラム。オリーブオイル大さじ1・5。塩、コショウ適宜。全部をフードプロセッサーでガーッと回せば出来上がり。ビニール袋などに入れ板状にして冷凍保存。1年は持つ。

 ◆80歳で80回出陣 海のレジェンド

 尾島康夫さん(藤沢市)は御年80歳。釣り歴は「65年ほどかな。竹ヅノを手で手繰っていた時代から。アジもやるけど、ほとんどがイカ」。年間80回は通うそうで、かくしゃくたるもの。腰越のレジェンドだ。娘さん2人は嫁ぎ、キミ子夫人(75)と2人暮らし。孫は5人。その中の一人は一橋大のボート部の女子部員。名前は明かしてくれなかったが「ミス一橋に選ばれて美しすぎるアスリートと呼ばれている」。イカを手にした時以上に目じりを下げていた。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、腰越・飯岡丸=(電)0467(31)1560。午前7時出船、乗合料金9000円。

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