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スライド釣法でモンスターイワナも夢じゃない

[ 2017年4月15日 07:08 ]

33センチのレイクトラウトを釣った阿部広美さん。右は筆者                          
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】解禁したばかりの栃木県・中禅寺湖に行ってきました。この湖にはレイクトラウト(レイクチャー)という湖型のイワナがいます。

 原産地は北米アラスカや、カナダの山奥です。わが国に移植されたのは約50年前、約6200匹が中禅寺湖に試験放流されました。現在ではこの湖にしか生息していません。寿命が長く50年生きると言われているので最初に放流した魚がまだ生きている可能性もあります。

 以前はなかなか釣れずに希少価値の高い魚でした。その後自然繁殖魚も増え、最近では、特に東関東大震災後は原発事故による影響で、持ち帰りが禁止になったため、さらにその生息数は増えているようです。それに加え釣り具、釣り方が進化したため、今では狙って釣れる魚になりました。

 その釣り方がスライドスプーン釣法です。ルアーは投げてリールを巻くと引っ張られて動きます。その動きで魚がだまされて食いつくわけですが、スライド釣法は、引いた後、止めた時にスプーンが斜め横に回転しながら沈んでいく時にヒットを得るという釣り方です。

 この釣り方の第一人者、群馬県の阿部博和・広美さん夫婦と一緒に釣りをしました。同行者は私の二十数年来の友人、岡部保夫さんです。

 阿部夫婦は海や川のルアー&フライの経験が豊富ですが、ここ何年かは「週末は中禅寺にいます。」と言って毎週末この湖にいます。当然変わりゆくポイントも熟知しています。それを生かしてスライドスプーンのMTレイクスを開発し、レイクトラウトを釣れる魚に変えました。ジギングのように沈んでいくルアーに魚が反応することに着目したわけです。

 広美さんも凄腕で、時にはご主人よりもヒット率を上げ、かの文豪・開高健が言うところの「なぜか女によく掛かる」の“なぜ”を、上手だからと理由付けた女性です。彼女は昨年93センチというモンスターをヒットさせ、リリースしています。こんな大物釣ったことがある男性もほとんどいないのではないでしょうか?

 中禅寺湖のルアー岸釣りでコンスタントにヒットさせている女性の存在がどれだけ素晴らしいかは一度でも中禅寺湖を経験したことのある方ならお分かりいただけると思います。

 4月9日、日曜日は曇り空の中、午前5時ごろから釣りを開始、最初にヒットしたのは岡部さんでした。ルアーはMTレイクスの19グラムでした。

 その後小型ではありますが、阿部さんも私にもヒット。遅れて広美さんにも。続いて連発でのヒットも楽しみました。

 釣れた魚が小さかったので苦笑いでしたが、それでも以前はなかなか釣れなかったレイクトラウトです。岡部さんはこれまで何回も通って1匹しか釣ったことがないのに、この日いきなり4匹キャッチしました。

 朝9時の時点ですでにキャッチは4人で12匹。阿部さんは他の場所で釣れていない仲間たちを呼んで、ここにいるから、とアドバイスしていました。私たちもさらなる1匹をというよりは、貴重な魚をすでに何匹か釣ったという余裕の笑顔。湖畔にてコーヒータイムを楽しみました。

 「この釣り方の進化で、誰にでも次の1投目でモンスターがヒットする可能性が増えた」。どうせ釣れないだろう、の釣りが行けば釣れるかも…に変わったことを認識しました。(東京海洋大学客員教授)

 ▼釣況 上信越地区東日本釣宿連合会、民宿おかじん=(電)0288(55)0410。船釣り解禁は20日。

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