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ミシマオコゼ 顔は悪いが味はいい 見た目鬼でも食べると“鬼ウマ”

[ 2017年4月13日 05:30 ]

 【吾作流 雑魚をおいしく!】シロギスを狙っていると、めったに釣れないが、ぐっと竿を止める重量感、“デカギス”か?と思うと、まるで鬼の顔のような奇怪な魚、ミシマオコゼ。めったに食べることができない美味魚なのだ。 (文 桜多 吾作)

 オコゼ類はヒレに毒を持っているけれど、こいつは安心。「オコゼ」と名が付いているけれど、オコゼのように激しい岩礁帯に棲むわけではなく砂地にいる。そのためはえ縄漁やトロール漁ではおなじみだけど、カマボコなどの練り物にされるため一般にはお目にかかることが少ない貴重な魚。それだけに釣れたら超ラッキーだ。

 昔は「カマボコ以外使い道がない」などと悪口を言われたのは、この恐ろしげな姿のせいでもあったのでは?

 近年、クーラーが発達し鮮度のよい状態で持ち運ぶことができるので見直された。ネックは身が硬いこと。

 「刺し身」なんかは、かなり切れる包丁で身を薄く切らないと入れ歯のお年寄りでは歯が立たない。身が硬いということは身持ちが良いということでもあるので、3日目か4日目に、少し時間を置いて刺し身にするか、少し凍らせてシャーベット状態だと切りやすい。だがその分、解けると水分が出るので、その時は大根のツマなどをしくこと。ワサビじょう油でもおいしいが、肝にサッと熱湯をかけてハシで崩して「肝あえ」にして食べるとさらにおいしい。

 中骨や頭、小さい魚は骨付きのまま筒切りにしてから、湯引きをして別鍋で熱湯を沸かし魚を入れる。沸騰したら塩をひとつまみ、しょう油を少々で「お吸い物」に。

 このときは、化学調味料を入れると、その味に負けてしまうから入れない方がよい。または、熱湯に魚を入れたら味噌を溶き入れ、薄く斜め切りしたネギを入れひと煮立ち。「味噌汁」で。

 ヌルの多い魚だからおろすときは頭とウロコを取ったらもう一度水洗いを忘れずに!

 「オコゼ鍋」もおいしい。夏場はこれを冷やして「冷やしチリ」としてもおいしい。

 たまにデパ地下やスーパーマーケットでミシマオコゼらしい魚が並んでるときがあるけど、あれはニュージーランド周辺でとれた輸入冷凍物。店頭に並ぶということは、海外ではおいしいと認識されてるってこと。買って食べてみる価値はあるだろう。

 その場合、刺し身で楽しみたいときは、冷凍状態をよく見て、完全な解凍ではなく半解凍ぐらいでおろすとヌルも気にならない。ブイヤベース風のスープもお薦めですよ。

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