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荒波乗り越え新境地 キャリア60年の会長も「自分流を模索」

[ 2017年4月6日 05:30 ]

佐久間さんはメバルとイサキの4点掛け
Photo By スポニチ

 【根ほり葉ほり おじゃま虫ま〜す】佐久間勲さん(69=鎌ケ谷市)は「かわはぎマスターズ」の会長だ。館山・つりセンター、くろしお丸の常連で組織された同好会。昨年はメンバーの一人がカワハギ釣り日本一に輝くなど腕っこきぞろいで知られている。猛者を束ねる3代目の元におじゃま虫ました。 (スポニチAPC・町田 孟)

 寒の戻りにしてもひどすぎる。気温7度、雨、指もかじかむ最悪のコンディション。館山湾では例年ならマルイカの時季だ。ところが今年は大不漁。やむを得ないイサキ狙い。

 右舷大ドモの佐久間さんは釣り場まで身をすくめるようにしていた。船長の掛け声と同時にが然動きがシャープになった。一荷、トリプルと数を伸ばした。「堤防のハゼなどから数えれば60年。東京湾の小物釣りが好きで船は40年」。キャリアがうかがえる。一年を通して月に4回、くろしお丸通い。きっかけは「他がやらない季節からカワハギに出ていた」。もう26年続いている。

 学生時代は日大芸術学部で写真を専攻した。しかしプロへの道は断念、会社経営、不動産管理が本業となった。それでも「その一瞬にシャッターチャンスを懸ける」だいご味に未練は残っているようだ。刈り込まれた口ひげ、しゃれた眼鏡と合わせ、昭和のダンディズムが漂う。ただ、デジタル化されたことで「もう写真というより記録でしかなくなってしまった。撮り手の味が出ない」。フィルムへのノスタルジーがくすぶっている。

 大病を患った。腎臓がん。「15、6年前。右側を摘出した」。それ以上に深刻だったのが血糖値だった。糖尿病発症寸前。「医者がこの際治そうって」。術後なのに食事制限、ウオーキングなどでダイエットを強いられた。「食後に必ず歩かされた。4キロくらいだけれど、帰りは全く歩けなくなるくらい体力が落ちた」。さらに胆のうまでも「取っちゃった」。それでも努力が実って、98キロあった体重は74キロまでに。今はメニューに沿って正しくカロリー摂取している。「酒は飲まない。カミさん任せ」。下戸が幸いした分もある。外出の際は常に「薬と血液型、連絡先が入ったカードを持ち歩く。60も後半にもなるとね」。

 マスターズ会長として昨年11月に2016ダイワカワハギオープンで小林直樹さん(49=草加市)がチャンプになったのは、ことの外うれしい。「僕も若いころは人と競い合った。近ごろは自分流を模索する楽しみが芽生えてきた」。分をわきまえての心境だ。

 メタル系が主流の竿に疑問もある。「感度がいいから竿に頼って当たりを待つようになってしまっている。工夫して誘って食わせるのが面白いんだから」。年齢的にも立って釣るのがつらくなってきた。座ることを前提にした「体に優しい」和竿への転向も頭に描く。敬子夫人と一人娘・夢さん(39)、孫の勝利君(15)の4人暮らし。「キスに連れてったら酔っちゃって」。孫への本格的指導には至っていない。「そのうちボチボチと」。もう一つのお楽しみだ。

 やがて確立されるであろう佐久間スタイル。和竿を構えたメモリアルショットは、ぜひセピア色に。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、館山・つりセンター=(電)0470(27)3807。午前6時出船。料金1万500円(コマセ、付け餌、氷付き)。

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