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熟成フグに期待膨らむ ゆっくり寝かせて絶品タタキ風に

[ 2017年3月5日 05:30 ]

パンパンに膨れ上がったショウサイ
Photo By スポニチ

 【一釣一品食べま専科】熟成フグを食す。狙いはトラフグより上とも言われるアカメ。舌なめずりしていた。ところが春一番、二番と邪魔が入る。前線の合間を縫って、やっとこさで浦安・吉久の人となった。(スポニチAPC 町田 孟)

 熟成っていえば肉がブーム。元々は経産牛をそれなりに食べるためだったとか。元祖ってなるとエスキモーかも。ジャガイモでは富良野の蔵出し「黄爵(こうしゃく)」がいい味出している。最近では一番かな。魚の白身系では半ば常識。寝かせた方が、ねっとり甘みがくるもの。フグの“取れたて新鮮”はゴムをかんでいるみたいだからなおさらだ。

 何日間かでも、おあずけって、いささか切ない。でもね、熟れた××なんて、日活ロマンを思い出すじゃないの、ムフフ。やっぱり味わいってのは、なんにでも必要だ。お尻の青い頃。下北沢の小料理屋にアミノ酸の効いた女将(おかみ)がいたっけ。

 で、正直言うとトホホ…。大アカメを船べりでバラし、東京湾で湧いているはずのトラも空振り。船で一番不運なヤツを演じてしまった。初詣のおみくじが生涯初の「凶」だったせいなのか、それともスケベ心の罰が当たったか。

 そこで何とか確保したショウサイでトライした。

 【釣戦】吉久特製のカットウを使用。実にシンプル。宿の仕掛けはそれなりに考えられているからお勧め。

 仕掛けが着底したら軽く30〜50センチほどシャクって、ゆっくり戻す。竿先と道糸との角度が90度になるよう水平に構える。0テンションで待つ。5秒くらいでまたシャクるの繰り返し。少しでも変化があったら、軽く手首を返すくらいの気持ちで合わせをくれてやれば十分。以上が大澤正幸船長=写真=のレクチャー。さらに「仕掛けを下ろしている最中に当たりがあっても着底してから合わせた方が確率が高い。照り返しを防ぎ、竿先の微妙な動きを見逃さないよう冬でもサングラスを」。

 【湯引きクッキング】ショウサイはその日でも食べられる。あえて、4日寝かせた(アカメは1週間〜10日間)。船宿でおろしてもらった身欠きをサクにして洗い、よく拭いてキッチンペーパーでくるむ。さらにラップに包んで氷温室で保存。最も大事なのはペーパーを毎日交換すること。手を抜くと臭いや傷みのもとになる。おいしいものを食べたけりゃ少々の手間は我慢せにゃ。

 熟成が終わったら厚さ2ミリほどに切り分けて、軽く片栗粉をまぶす。余分な粉をはたいたらグラグラした湯へ投入。きっちり5秒で引き上げ氷水へ。薄皮は気にならなくなっている。水気を取って万能ねぎを散らし、ポン酢でどうぞ。サクのまま湯引きしてもタタキ風になって十分いける。

 家人いわく。「片栗をつけるとプルン、ツルン。熟成ねえ、かすかに甘さとしっとり感が。でも微妙」。返す返すもアカメが…。その時のために取って置いた「純米稲穂酒」(富士錦酒造)の封を切っちまおう。醸造用アルコールを使用していないからきちっと日本酒の味がする。ぴったりだ。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、浦安・吉久 =(電)047(351)2983。出船午前7時。乗合料金9800円。

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