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カワハギ丸ごと “ハゲ酒”で心もポカポカ

[ 2017年1月4日 05:30 ]

下から小の小、小、中、大と交じったカワハギ
Photo By スポニチ

 【一釣一品 食べま専科】カワハギを飲む。フグのひれ酒もどきかな。ただ、ワッペンサイズ丸ごと使うのがみそ。名づけてハゲ酒。ひと手間かけて熱燗(かん)にどっぷりつけると味わい深い一献となる。仕込みは館山つりセンター。おっと、今回は脇に回ったけれど、酔いざましのにゅうめんも一緒に。 (スポニチAPC 町田 孟)

 つりセンターの主戦場、館山湾は“カワハギの池”と呼ばれている、というか僕が勝手に吹聴しているんだがね。しかも、今は肝パンの中、大型が中心で数も出る。そんな中、ワッペンってのも難しい。しかも、たまに釣れても「放流しなおー」。花輪雅一船長の厳しい監視が付く。せめて2合分だけとお目こぼしを願う。

 餌釣りの極致で苦戦してつくづく思う、リズムが大切だって。誘って聞いて。ところが僕は元々音痴ときている。そっちの方がイマイチなわけ。

 青くさい高校生時代、パーティー券がやたら回ったことがある。1枚2000円くらいだったかな。半世紀以上も前だもの相当高いよ。それでも「入れ食いだからさ」。悪童の誘いに乗って出かけたもんだ。あわよくばと鵜(う)の目鷹の目。ジルバ、ルンバ(掃除機じゃないよ)が主流だった。でもね、ダンスクイーンと呼ばれるほどの名手に手ほどきしてもらっても進歩無し。「踊れる」にはほど遠かった。パーティーで誰にも誘われず隅っこに立っている娘を壁の花という。さしずめ僕は壁のシミかカビの存在。甘酸っぱいというより屈辱的な思い出サ。

 リズム音痴はダンパではオデコ。でも釣りには時たま間違いってのもあるじゃない。そこがいいところ。

 【釣戦】冬場はベタ底が基本。花輪流は「大きくたるませる。それからゆーっくりとモタレを感じるように聞き上げる。通常パターンみたいにシャッとやっちゃダメ」。さらに今季特徴的なのが、暴食タイムがあるらしいんだ。つまり「日によって違うけれど、何時間かヒステリー状態になる」。稼ぎどころ。僕の場合は午前9時半から1時間、落とせばパックンのらんちき騒ぎだった。2時間続くこともあるという。ハリはフック4号か4・5号が有効。

 【カワハギクッキング】 ▼ハゲ酒 通常通りの手順でワッペンを丸裸に。次に寒風の下、カチンカチンになるまで干す。最低4、5日。冷蔵庫も利用すると効果的。すると半透明になって中骨が見えるようになる。あとは焦げ目をつけコップに放り込み熱燗を注ぎグイッ。甘さと香りが口中に広がるって寸法。小型でも2つに切って使えば1匹2合。

 ▼にゅうめん そうめんを硬めにゆでておく。カワハギは5枚おろしにして素焼きしておく。つゆはカツオだしにアラを加えコトコト。薄口しょう油、みりん、酒で味を調える。アツアツにしてそうめんを浸したら30秒。丼に移し、焼いた身を泳がせて万能ネギを乗せれば、胃に優しい一品だ。

 全く下戸の家人。どうしたことかハゲ酒を一口。「いい香り。マイルド」。目元がほんのり桜色。まあ40年前ならまだしもネッ。

 ≪38匹ぶっちぎりV≫つりセンター・くろしお丸には常連さんでつくる「カワハギマスターズ」という会がある。メンバーの一人、小林直樹さん(49=草加市)が昨年11月に行われたダイワカワハギオープン(DKO)を制覇した。38匹で2位に12匹差のぶっちぎり。新チャンプは「釣り方はキャスト。当日は僕には向いていない潮のはずだった。ところが動きが予想とは変わり有利に働いた」。実は前年、前々年と手応え十分で臨んだ。ところが自然の前に涙々。今回2年分の悔しさを一気に晴らした。「船長、マスターズの仲間と切磋琢磨(せっさたくま)したおかげ」。カワハギに魅入られて10年。日本一をつかんだサラリーマンの声は弾んでいた。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、館山つりセンター=(電)0470(27)3807。午前6時半出船。乗合料金8000円(氷付き、餌別)。

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