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【旅ヂカラ漫遊記】F大谷の地元でワインと名湯 二刀流のお楽しみ

[ 2017年11月15日 12:00 ]

オーストリアをイメージしたエーデルワインのワインシャトー大迫
Photo By スポニチ

 メジャー挑戦が決まった大谷翔平(日本ハム)の母校・花巻東高の地元、岩手県花巻市に本格的なワイナリーがあった。大迫(おおはさま)町の「エーデルワイン」。「日本のボルドー(仏)に」と半世紀以上前にスタートした施設で、訪ねてみると大迫が日本のワイン発祥の地という話も。近隣には露天風呂で知られる温泉も多く、ワインと名湯に酔いしれた。

 ワインと花巻…どうしてもピンとこなかったが「エーデル…」を訪ねて合点がいった。本社のある丘陵地には直売所とテイスティングルームを備えた「ワインシャトー大迫」や瓶詰め棟、醸造棟が立ち、ホテルやレストランも。ホテルなどは「ルンドルフ」との名が付くが、花巻市が姉妹都市関係を結ぶオーストリアの都市のことで、同国をイメージした建物が特有の雰囲気を漂わせる。

 社名も地元名峰早池峰山(はやちねさん)に咲く早池峰うすゆき草と同国にまたがるアルプスのエーデルワイスが姉妹花であることにちなんだ。現在、年間で約50種類約40万本を製造販売。「五月長根葡萄(ぶどう)園白」が03年の日本ワインコンクールで特別賞を受賞したのを皮切りに、さまざまな種類が国内外の品評会で賞に輝いている。

 だが「シャトー大迫」に入ってみると、格式張ったところはない。直売所では1番人気の「月のセレナーデ赤」など10種類以上が自由に試飲でき、テイスティングルームでは「蔵出し生ワイン」などをグラス100円から味わえる。「酔うので飲み過ぎないように」との係員の言葉も納得だ。

 大迫のワイン造りは70年前の台風で被害を受けた際、視察に訪れた当時の県知事が石灰石の土壌、少雨で朝晩の寒暖差が大きい気候を「ボルドーに似ている」とブドウ栽培を奨励したのがきっかけ。1962年に町と農協が共同出資して合資会社を設立。74年、第三セクターの「エーデル…」に生まれ変わった。

 「いいワインは地元産のいいブドウから」との藤舘昌弘社長の信念の下、自社畑120アールのほか34軒のブドウ農家などの協力で高品質のブドウを栽培。一方で近くの「花巻市総合文化財センター」には約3000年前の地層から発掘されたワイングラスのような土器が展示され、「これを見たワインソムリエの田崎真也さんが大迫は日本のワイン発祥の地では、と驚いていた」(中村良幸所長)との話もあり、このワイナリー、大谷同様、大化けするかもしれない。

 ≪白濁の硫黄泉に秘湯露天…たっぷり湯めぐり≫翌日は温泉巡りを楽しんだ。まずは宿を取った、東北新幹線盛岡駅から送迎バスで約1時間の「休暇村岩手網張温泉」=(電)019(693)2211。ホテル内外には1300年の歴史を有する「網張五湯」があり、露天風呂からの景色が美しい「大釈の湯」で一汗流した後、内風呂の「白泉の湯」、ホテルから徒歩5分の「薬師の湯」(日帰り各600円)、山道を歩いて7分の野天風呂「仙女の湯」(同400円、冬季閉鎖)と「鹿追足湯」を除く四湯をはしごした。いずれも白濁の硫黄泉で、全身がお湯の中に溶け込んでいくよう。次は車でさらに50分の松川温泉。地熱で温められた温泉で、近くには地熱発電所も。3軒の旅館のうち「峡雲荘」の露天風呂(同500円)に入ったが、こちらも白濁の硫化水素泉で、秘湯ムード満点だった。八幡平市観光協会=(電)0195(78)3500。

 ≪宮沢賢治ゆかりの地 物語の世界も体験≫花巻といえば詩人・宮沢賢治の故郷。市内随所に記念館や展示館などゆかりの施設が点在する。中でも「宮沢賢治童話村」(入館料200円)=(電)0198(31)2211=は、入り口が「銀河鉄道の夜」に登場する「銀河ステーション」。約11ヘクタールの敷地には賢治の教室、賢治の学校、妖精の小道、山野草園などがあり、ファンタジックな賢治童話の世界が体験できる。

 ▽行かれる方へ 東北新幹線新花巻駅からタクシーで25分。車は東北道花巻ICから約30分。工場見学(無料)もできる。問い合わせはエーデルワイン=(電)0120(08)3037、(電)0198(48)3037。

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