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解散の大義と“時間がない”北朝鮮拉致問題

 【小池聡の今日も手探り】「(“改造仕事人内閣”が8月に発足し)1カ月では必殺仕事人でも準備できない。解散の大義が分からない」(日本維新の会の馬場伸幸幹事長)「何を目的とするのか、大義が分からない」(小池百合子東京都知事)――。

 安倍晋三首相が9月28日召集の臨時国会冒頭に解散する方向となり、ここかしこから噴出した「大義論」。開会式さえも行わないとのことで、この種の批判は収まりそうにない。伝家の宝刀とも呼ばれる解散権をめぐる議論も活発化しそうだ。思えば、2014年11月の前回解散時(総選挙は12月)にも指摘され、「大義なし」と解散反対を決議した自民党地方組織まであった。

 こうした批判は折り込み済みなのだろう。臨時国会冒頭解散風が一気に吹き荒れた9月17日の段階で、首相の最側近と言われる萩生田光一幹事長代行は「大義なき党利党略になってはならない。首相が国民にきちんと説明する」と話している。

 核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮情勢を踏まえ、「大義論」とともに政権批判材料として語られる「政治空白」。その一方、この時期の解散断行理由として、“小池新党”や民進党など野党の臨戦態勢が整わない今が好機ということに加え、“北朝鮮に対抗するための強力な政権基盤”の構築の必要性が挙げられている。

 解散が確定的に伝わったその17日に、北朝鮮による拉致問題の解決を求める「国民大集会」が都内で開かれた。同国が拉致を認めた日朝首脳会談から15年となった日だ。翌10月、被害者5人の帰国へとつながっていった。

 異様な雰囲気に包まれた記憶がよみがえる。羽田空港から政府専用機に乗り込み、平壌国際空港に到着。しかし、機内に預けていた手荷物をなかなか受け取ることができない。北朝鮮側が中身をチェックしているのではないかと政府職員や記者団の間で不安が広がり、業を煮やした職員の1人の怒声が複数回、響き渡った。「我々は総理の飛行機で来ているんだ!失礼だろ!」。首相を乗せた政府専用機で降り立つ相手国の空港。同職員にしてみれば、これまでの経験ではあり得ない“外交上の非礼”と映ったようだ。

 緊張感みなぎる中、小泉純一郎首相と金正日総書記が互いに右手を差し出して握手した歴史的なシーンは、多くの人の脳裏に焼き付いているのではないだろうか。この日帰り訪朝に同行、会談にも同席していたのが当時、官房副長官だった安倍首相。昨年9月の「国民大集会」では「拉致問題の解決に当初から取り組んできた政治家」と強い自負をにじませ、「最重要課題」である拉致問題を「安倍内閣で解決する」との立場を強調した。

 横田めぐみさん=失踪当時(13)=の母早紀江さんは今年初めて「国民大集会」に参加しなかった。疲労などのためで、父滋さんとビデオメッセージを送った。滋さんはその中で「めぐみちゃんと早く会いたい」とひと言、訴えたという。めぐみさん拉致事件の発生から今年で40年。「ちゃん」という響きに、時計の針は止まったままのようだと改めて痛感させられる。

 米朝関係が緊迫の度を増している。トランプ政権が今後、対北強硬姿勢をさらに強めていった場合、日本はどこまでも同調していくのだろうか。それが拉致問題の解決にどのような影響を与えるのだろうか。

 「大義なし」「政治空白」批判を抑え、“北朝鮮に対抗するための強力な政権基盤”を構築――。首相電撃訪朝の可能性にも注目が集まるが、思惑通りに総選挙をクリアした場合を想定して当然描いているであろう今後のシナリオはどのようなものなのだろうか。時間はない。

 ◆小池 聡(こいけ・さとる)1965年、東京都生まれ。89年、スポニチ入社。文化社会部所属。趣味は釣り。10数年前にデスク業務に就いた際、日帰り釣行が厳しくなった渓流でのフライフィッシングから海のルアー釣りに転向。基本は岸から気ままにターゲットを狙う「陸(おか)っぱり」。

[ 2017年9月23日 09:30 ]

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