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感涙療法士 ストレス社会が求めてる“涙のリクエスト”

感涙療法士として「なみだの授業」を行う吉田さん
Photo By スポニチ

 【イマドキの仕事人】涙を流したら気分がスッキリした――そんな経験をしたことがある人は多いはず。ストレス社会といわれる昨今、能動的に涙を流すことで、疲れの解消やストレスを発散する活動「涙活(るいかつ)」に注目が集まっている。感涙療法士という肩書で、涙活普及活動を行う男性を訪ねた。

 「皆さんが最後に涙を流したのはいつですか?」。東京都内のビルの一室で、吉田英史(41)は約40人の老若男女を前に「なみだの授業」を始めた。感涙療法士とは、任意団体が認定している独自の資格。全国各地の医療や福祉、教育の現場などで涙を流す活動を広め、患者や生徒の心の健康をサポートする。吉田は首都圏でのセミナーやワークショップ、企業内でのストレス対策プログラムとしての講演も行っている。赤色の眼鏡とジャージー姿がトレードマークで、愛称は“なみだ先生”。温和な口調で「映画やドラマなどに感動して流す涙は心身に非常に良い影響を与えます」と語る。続けて「タマネギを切るときに出る涙や、眼球を保護する涙ではなく、感動した時に出る“情動の涙”がもっとも効果的」と説明した。

 授業ではまず、家族や仲間の絆、ペットの話など複数の動画を上映。「感涙のツボは人それぞれなので、自分が泣ける分野を見つけてほしい」という。次に、参加者が涙の形をした紙に「泣き言」を記載し、吉田が用意したさい銭箱ならぬ“涙(るい)千箱”に入れる「泣き言セラピー」が行われる。「残業が多い」「眠りが浅い」など、匿名で記された泣き言を、吉田が参加者の前で読み上げアドバイスを送る。「心の中にたまっているものを吐き出すことで自分の現状を客観視し、他人に共感することが癒やしにつながる」と話す。最後は「涙友(るいとも)タイム」で、参加者同士で絆を深める。名古屋から訪れた男性は「30年ぶりに泣いた。スッキリしました」と晴れやかな表情で会場を後にした。

 神奈川県鎌倉市出身。高校の英語教師を経て、スクールカウンセラーをしていた36歳のころ、「相談中は号泣していた生徒が、話が終わるころにはケロッとしている。涙には特別な力があるのかもしれない」と感じた。脳ストレスのコントロールに効果的な「セロトニン神経」の世界的権威で東邦大学医学部の有田秀穂教授を訪ね、涙の効用やメカニズムについて学んだ。「人がストレスを感じるのは、自律神経の一つである交感神経が活発になり、緊張状態が続く時。この緊張をほぐすのに必要なのが副交感神経を活発化させること」。簡単な方法が涙を流すことだという。

 感涙療法士としての活動について「実は、気持ちの悪さもあるんです」と語る。「涙は本来、自然に流すもの。しかし涙活はある意味、意図的に涙を流させている。これは本当に良いことなのか」。東日本大震災の後、福島などの被災地から講演依頼を受けた。「つらい思いをした被災者に、作り物の動画を見せるのは失礼なのでは」との思いから一度は断った。それでも要請され現地へ行くと「泣いて気持ちが晴れた」という反応があった。それから毎年通い、来月には6度目の訪問を控える。「“泣きたい”という人が多くいるのも事実。涙を流す場を求める方々のために活動をしていきます」と力を込める。

 かつては“男ならどんなにつらくても涙を流すな”と言われた時代もあった。「男性だって泣きたいときはある。社会の中に泣ける場所をつくりたいし、つくるのが使命だと思っている。30〜40代の男性を泣かせたいんです」と吉田。現代人のストレス軽減のため、なみだ先生は全国を飛び回っている。=敬称略=

 ≪後輩育成にも力≫感涙療法士の第一人者として、後輩療法士の育成にも力を入れている。感涙療法士は現在約2カ月に1回のペースで認定講座が行われており、現在約80人が資格を取得。「自社の社員に取り入れたい」という会社経営者や、「心身の健康を提供したい」という医療関係者やヨガインストラクターらの受講者が多い。有田教授の「涙の効用とメカニズム」、吉田の「泣き言セラピー」を受講し、認定テストを受け合格することで認定される。

[ 2017年2月6日 05:30 ]

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