サブカテゴリー

PR:

千葉県観光業 東電賠償対象除外に憤り

海水浴客が激減した千葉県勝浦市
海水浴客が激減した千葉県勝浦市。民宿のオーナーが手にする宿泊客管理のボードは空白が目立った
Photo By スポニチ

 東京電力は、福島第1原発事故に伴う損害賠償の請求を今月から受け付け、10月中にも支払いを始める。賠償基準は、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が8月5日に「中間指針」として公表した。この対象から漏れた被害者は多く、不安や怒りを訴える人が相次いでいる。

 観光業の賠償対象は福島、茨城、栃木、群馬の4県。これに猛反発しているのが千葉県内の業者だ。

 勝浦市の民宿の店主(61)は「茨城と同様に海水浴客が激減した。茨城のすぐ下に位置して同じ海水が流れているのに、なぜ千葉が外れたのか」と憤る。市によると、市内6カ所の海水浴場の客数(今年7月16日〜8月21日)は16万3975人。昨年の30万9078人の約半数に落ち込んだ。

 この民宿も7月の客数が昨年より41人少ない104人。8月は127人少ない363人だった。店主は「子供連れの家族客が極端に減った。汚染水を恐れて海水浴を控えたからだろう」とみている。

 別の民宿の女将(64)も「今夏は例年の3分の1ぐらいしか客が来なかった。宿の運営だけでは2年前のリフォーム代が払えず、店主の息子が建築業で働いている」と苦しい経営状況を明かす。

 市の観光協会は民宿や旅館などに対し、今夏と昨夏の客数と売り上げを報告するよう伝えた。この結果を今月中にもいすみ市、御宿町、大多喜町と合同で県に提出し、風評被害の深刻さを訴える。協会長の君塚保さん(75)は「われわれは海で生きている。なぜ賠償対象が県単位で地域性を考えてくれないのか」と疑問を呈した。

 白子町の旅館経営者は「今年はローンがほとんど払えず、金策に追われている。東電に個別に賠償請求している余裕などはない」と話す。県の旅館ホテル生活衛生同業組合は、今月中にも東電への損害賠償請求を検討している。南房総市も鴨川市、館山市などと合同で国と東電に補償を求めていく方針だ。

 中間指針では「指針で触れなかったものでも、損害賠償の対象となる場合がある」としており、4県以外の観光業でも公平に損害賠償に応じるよう東電に求めている。しかし、文科省の原子力損害賠償対策室の担当者は「東電は指針にこだわりすぎて柔軟に対応しない可能性がある。4県以外の観光業は賠償請求が困難になる恐れがある」と指摘する。

 東電はこれまで「賠償は指針に基づいて行う」と繰り返し、“指針ありきの賠償”との姿勢を徹底して示してきた。指針には法的な強制力はなく、賠償の判断をするのは東電に委ねられている。

 指針は本来、被害者が賠償請求する上での負担を減らすために作られたもので、同担当者は「指針に書いてあるから認める、書いてないから認めない、となってしまっては指針本来の意義を失う。指針はあくまで手続きを簡素化するための道具の一つ。東電には明記されなかった賠償も含め、公正な判断が求められる」と話す。

 東電は今月中に請求書用紙を作製し、求めに応じて発送し、10月にも支払いを始める。広報部は「原則、4県については今のところ補償をさせていただき、それ以外は協議をさせていただきます」としており、4県以外の観光業は支払いまで時間がかかりそうだ。

 勝浦市で民宿と飲食店を営む男性(57)はローンが払えず、預金と個人年金を切り崩してしのいでおり「その日暮らしが続いている。いち早く補償してほしい」と切実に訴える。こうした声も東電に届くのか。柔軟な対応が求められる。

[ 2011年9月5日 06:00 ]

Webtools & Bookmarks

PR

注目アイテム

ニュース

注目アイテム

スポニチwikiランキング

      人気ニュースランキング

        ※集計期間:

        » 続き

        【楽天】オススメアイテム
        クイックアクセス
        スペシャルコンテンツ