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「地域の方々と一体となって、街の魅力を整備・発信していきます」と語るREVICのメンバー(左から岡さん、佐藤さん、古川さん)

正直言って、多くの日本の観光地はかつてのような光を失いつつあるように見える。さほどメジャーではない地方の温泉など惨憺たるものだし、いや名前くらいは誰もが知る、かなりメジャーな温泉地の中にも危ういエリアはある。
「全国的にみると、うまく行っている温泉街は少ないだろうと思います。昔は観光バスでやってくる社員旅行など団体旅行が主流となっていましたが、個人旅行化されたことで寂れてしまった温泉地もたくさんあります」というのは株式会社地域経済活性化支援機構、通称"REVIC"の岡嘉紀さん。まあ、時代の流れなのだろう。休みの日まで上司と寝食を共にしたくはないと言う若者も多いのだろう。まあ、福利厚生費を負担してくれるような太っ腹の会社も減ったのだろうし。いやいや、それ以上に観光地そのものが、そういった時代の変化を目の当たりにしながらも、これまでなにも手を打ってこなかったと言えなくもないのではないだろうか。
ところが、そんな廃れつつある地方観光都市の周囲を見渡してみると、それなりに良い温泉があって、それなりに魅力的な観光スポットもある。そしておいしい郷土料理もあったりして、磨けば武器となりそうな観光資源がないわけでもないのに、何かが不足している。
「私たちREVICの役割は、せっかく魅力的な資源を有しながらも、少々うまくいっていない地域に入り込んで、活性化することにあります」(岡氏)。
ここで、REVICの仕組みについて、簡単に解説を加えておくことにしよう。REVICとは、株式会社地域経済活性化支援機構="Regional Economy Vitalization Corporation of Japan"の略称で、株式会社企業再生支援機構から称号が変更された官民ファンド。リスクマネーと専門家を地域に派遣して、地域活性化のモデルを作り、それを展開することを目的としている。
「一時的な施策ではなく、地域の基幹銀行と一緒にファンドを創設し、地域の方々と共にモデルづくりを先導することで、我々の支援が終わったあとでも、継続的にその地域に資金や人材の支援が行われるような仕組みづくりを進めています」(岡氏)
観光活性化ファンドにおいては、単に資金を投入するだけでなく、実際に現地に入り込んで街づくりの会社を設立するなどし。REVICのメンバーが社長、もしくはそれに準ずる立場となって会社を引っ張っていきながら活性化をリードしていることも特徴だ。
「補助金ではなく、あくまでファンドなので、事業として、マネジメントや、マーケティングを行ったりする必要が生じる。そこに実効力あるまちづくりが進められる理由があると思っています」(岡氏)

現在、REVICの活躍により、各地で様々な観光ビジネスのモデルが生まれつつある。それぞれの地域性はもちろん、それこそREVICの担当者、すなわち地域のまちづくり会社の社長のカラーや人脈が色濃く現れるのが面白い。事例をいくつか紹介することにしよう。
REVICのメンバーにして株式会社ものべみらいの社長を務める古川陽一郎氏が進めるのは高知県物部川地域における観光活性化だ。
「この案件の特色は、高知県先導で取り組みがスタートしたという点にあります。観光産業の活性化を図り、観光を軸として地域経済の活性化を図ることで、地産外商や移住など、県全体の産業課題の解決に少しでもお役にたてればという思いがありました。また、地域の大学生や高校生と協働して事業を創っていくことで、みらいの担い手を育成したいという思いがありました」(古川氏)。
REVICと四国銀行が出資し、高知県が支援するかたちで高知県観光活性化ファンドが設立。地域の観光関連事業者に投資していく。
「物部地域には、日本三大鍾乳洞のひとつに数えられる龍河洞や利用者の満足度が高いのいち動物公園、そして、作者のやなせたかし先生が当地の出身ということで開設されたやなせたかし記念館(アンパンマンミュージアム)などのポテンシャルある観光資源が点在しています。これらをひとくくりにして観光客のターゲットイメージを設定。子育てファミリーに向けて情報発信をしながら、個別の施設のブラッシュアップを図っている段階です」
現時点においては、アンパンマンミュージアムに隣接するホテル「ピースフルセレネ」をやなせたかし先生の描いたアンパンマンなどの原画コンテンツを活用し、リニューアル予定。2017年内には家族で楽しめる環境が整うという。

有田焼で知られる佐賀県有田町の観光活性化に尽力するのは、有田まちづくり公社の副社長である佐藤容紹氏。もちろんREVICの主要メンバーのひとりだ。
「有田町には、年間200万人の観光客が訪れているのですが、年に2回の陶器市・陶磁器祭りの期間に集中。さらに九州域外からの観光客が減少しているという課題を抱えていました」(佐藤氏)
有田焼という魅力的な資源もあり、交通の便も悪くない。さらにエリア内には伝統的な建造物があり、調度品や工芸品、さらに水や棚田などの自然や食などの魅力もある。
「有田町は400年の歴史を持つ産業地であって観光地ではなかった。そこに観光要素を入れることで有田焼を中心に観光による消費額を増やしていく。ショッピングツーリズムというコンセプトを考えました」
まずは有田町・窯元買い回りチケットを発行し回遊してもらう仕組みを実施。旅行会社とタッグを組んで有田焼の魅力を伝えるツアーを用意すると同時に、公社が独自にツアーを企画し、それが大きな反響を呼んだのだという。
「著名なシェフや料理研究家帯同型のツアーを企画。彼らがキュレーターとなり、料理と一緒に器の魅力を伝えていただくよう役割を担っていただきました」(佐藤氏)
このツアーが評価されたのは、そこに人が作ったストーリーがあるからだという。
「有田には神話でもなく絶景でもなく、人がつくった400年の歴史がある。だから面白いのです」(佐藤氏)
駅前も整備し、ふるさと納税にも注力。今後は積極的にインバウンド対策も推進していくという。
「地域の方々も一体になって"新しいことをやっていこう"という機運が徐々に増してきた気がします。今後、さらに有田という街が魅力的になっていくのは間違いありません」(佐藤氏)

REVICの取り組みの中で、もっとも先進的な事例として注目を集めているのが、前出の岡氏が社長を務めるWAKUWAKUやまのうちが進めている長野県山ノ内町におけるまちづくりであろう。
「長野県の山ノ内町は湯田中渋温泉、志賀高原、北志賀からなる県内有数の観光地。スキー場が多いため、どうしても観光客が冬に偏重する傾向が顕著にあり、さらにスキーブームだった平成2年をピークにゆるやかに観光客数が低下していきました」(岡氏)
ところが、近年、野生の猿が温泉に入っる"スノーモンキー"がネット上で話題になり、海外の観光客が急増。このチャンスを活かし、滞在環境をつくり、街を活性化しようという取り組みをスタートさせた。
「具体的には、湯田中温泉のメイン通りである『かえで通り』の再生に着手。"まちづくり""ひとづくり"、そして情報発信の3つの観点から、地域の皆さんの一緒に事業を運営しています」(岡氏)
"まちづくり"は、いわゆるハードの整備だ。旧青果店や洋品店、旅館などの遊休物件をビアバーやカフェ、ホステルなどにリニューアル。外国人観光客のみならず、若者の感性にもフィットする高感度な施設が用意された。
「さらに大切なのは、これらの取り組みを継続することができる担い手の育成と定着です。新しいお店や施設を経営してみたいという若い人はいるのですが、どうしても途中で挫折してしまうケースは多い。私たちが起業のプロセスにおける、事業が安定化するまでの支援も行います。こういった"ひとづくり"の部分にも力を入れています」(岡氏)
そして、メディアを通じて情報を発信。TVや雑誌でも取り上げられるようになり、町全体が盛り上がりを見せているという。
「若い人が街を盛り立てていこうとする姿を見て、周囲も応援してくれるようになってきました。それが、この取り組みが力強く前進していく理由なのかもしれません」(岡氏)
REVICの活躍により、もっともっと"出かけたくなるようなすばらしい街"が増えてくるに違いない。しかし、できあがってしまう前に一度は訪問し、街が成長していく過程を観測し続けるのも面白いのでは。

■取材協力
株式会社地域経済活性化支援機構
http://www.revic.co.jp/

■取材協力

株式会社地域経済活性化支援機構
http://www.revic.co.jp/

 

プロフィール 【伊藤秋廣(A.I.Production)】
年間300人超の実績。ビジネスパーソンからドクター、アスリート、文化人、タ レントまで幅広く対応するプロ・インタビュアー。対話の中から相手 の“哲学” を引き出す力に定評あり。ライティング専門プロダクション 「A.I.Production」を運営する。
http://www.a-i-production.com/

 

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