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約100年前に立てられた日本最古のコンクリートの共同住宅

首都直下地震や南海トラフ地震などなど、日本各地で地震発生のリスクは高まっているが、何となく他人事のように考えている人も少なくはない。
「自分は大丈夫だと思いこむ"正常性バイアス"という心理が働くのでしょう。せっかく防災意識を持っていたとしても、防災用品や避難経路など"小手先の話"で終わってしまうこと。"何のために備えるのか?"という本質的な問題が見えていないと、後々、苦しむことになるのです」と指摘するのは、大和ライフネクスト株式会社の丸山肇氏。防災の本質は復興後の生活再建にあるというのだ。
「“防災”という言葉がありますが、地震や台風などといった自然災害を防ぐことなどできません。できることは"減災"でしょう。けがをしない、自分の命を守る、家族を守るというのは当たり前のことで、できるかぎり被害を減らして、自分たちのその後の生活設計を立て直す、そこまで考えてはじめて、自分と、そして家族を災害から守るということになるのです」
災害からの生活復興をいち早く進めるためには、その拠点となる住宅を守ることは重要だ。心配なのはマンション。自分たちが住んでいるマンションは大丈夫なのだろうか。
「現在、多くのマンションで2つの"老いの問題"が静かに進行しています。ひとつは建物の老い。今から30年前の日本のマンションのストックは162万戸、平均築年数は8年強でした。それから30年が経過した今、新築マンションの供給を加味しても、平均築年数は22年となっており、2025年には28から30年に近づくと言われています」
さらに深刻化しているのが、もうひとつの老い。住民の老齢化も進んでいる。
所有者の年齢も、現在は60歳以上が50%を占めており、2025年には70%を越えそうな勢いだ。日本社会のトレンド以上に高齢化が進んでいるのがマンションかもしれない。また、所有者が高齢化したため、昔のように買い替えのためにローンを組んで戸建てに住み移ろうと考える人は少なくなった。 今、住んでいるマンションを"終(つい)の棲家"にしようという "永住指向"が高まりを見せているという。このままいけば、マンションの"終(つい)の棲家"化が進み、気がついたら買い手のつかない空き室だらけになっる可能性だってある。
「確かにもう少し先に現れる現象かもしれないが、ひとたび大きな震災が起こったら、建物被害は10年分以上の劣化に匹敵するかもしれないし、住んでいる人も終の棲家を放り出して空き家が急増するかもしれない。2つの老いが一気に前倒しになる可能性もあるのです」

国連防災世界会議パブリックフォーラムでのワークショップ風景(実施 大和ライフネクスト)

ならばどうするか。丸山肇氏は、マンションの中身の部分、すなわち住民たちのコミュニティの力で問題解決を図るしかないという。
「まずは、ご自身が住んでいるマンションの組合運営はどうなっているか。防災の備えはどうか。地震保険に加入しているかなどを確認すべきでしょう。コミュニティがしっかりしていれば、震災当日もさることながら、震災後の生活復興にも力になっていくでしょう」
大切なのは、一般的に言われている"共助"ではない。"近所力"なのだという。
「"共助"は、知らない人同士が助け合うという意味合いが強いため、元々、顔見知りの関係にあるマンションには、よりフィットするのが"近所力"だと思うのです。江戸落語に登場する長屋の熊さんと八さんのような関係、言われなくても互いの留守を互いにそっと見守り合うような示し合わせ、近所同士の関係もこの水準までもっていくことが理想です」

数多くの講演やセミナーに登壇し、震災時におけるマンションコミュニティのあり方についての啓蒙活動を続ける、大和ライフネクスト株式会社の丸山肇氏

丸山氏が考える理想のコミュニティは、コツやマンションというコミュニティの特性を理解すれば、誰でも構築することができるし、持続も可能になると言う。
「マンションのコミュティの活性化へと導くのはリーダーではなく、"ファシリテーター"という立場です。企業のように、営利という共有目的がありませんので、強烈にチームを引っ張っていくリーダーでは、住民たちをリーダーシップだけでまとめてあげいくことは難しい。中立な立場で、参加者の心の動きや状況を見ながら、ミーティングやイベントを導いていく"ファシリテーター"力が問われます」
"ファシリテーター"は自発的な防災活動を進めていく上でも必要不可欠な存在だ。
「年に一度の防災訓練も確かに重要ですが、何も考えずにただ体を動かすだけの訓練ではあまり意味がありません。まずは考えるトレーニングが必要です。そういった意味で私たちが推奨してるのが"机上防災訓練"です。首都直下型地震発生を想定し、個人として、そしてコミュニティとして何をすべきかを議論し整理する。そしてマニュアル化したうえで避難訓練を行うことで、より実質的で実行力のあるものとなります」
大和ライフネクスト株式会社では、"机上防災訓練"のためのファシリテーター育成研修を定期的に実施。マンション管理に関する様々テーマでの研修も開催しており、年々参加者も増え、注目度の高さを実感しているという。
「さらに議論を深めるうちにマンションの住民の状況も見えてきます。"あの部屋には独居老人がいるから声をかけよう"とか、"あそこの家は子どもが一人になる時間がある"などと把握することで"近所力"が高まるのです。もうおわかりの通り、"近所力"とはいざというときにあらかじめの示し合わせで助け合う力なのです」
防災のひとつのきっかけとして"近所力"を強化していく。上質なマンション管理は住民の安心安全を確保すると同時に、住みやすいマンションとして資産価値も向上するのかもしれない。何も難しいことはない。住民の気持ちの切り替え一つで、それが実現できるのだから。

■取材協力
大和ライフネクスト株式会社
http://daiwalifenext.co.jp

■取材協力

大和ライフネクスト株式会社
http://www.daiwalifenext.co.jp/

 
プロフィール 【伊藤秋廣(A.I.Production)】
年間300人超の実績。ビジネスパーソンからドクター、アスリート、文化人、タ レントまで幅広く対応するプロ・インタビュアー。対話の中から相手 の“哲学” を引き出す力に定評あり。ライティング専門プロダクション 「A.I.Production」を運営する。
http://www.a-i-production.com/
 

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