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"きらきらうえつ"と呼ばれる観光圏がアツい。と、いっても関東圏に住む筆者を含め、その名に馴染みのない人も多いかと思うので、軽く解説をしておく。
"きらきらうえつ"とは、秋田、山形、新潟の3県10市町村をまたがって、"きらきら"輝く日本海の海岸線沿いに広がるエリアの総称。ちょうど、新潟・秋田両新幹線の終点と終点の間に挟まった地域で、先日、山形県を舞台にしたドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」の監督である映像作家の渡辺智史氏が、その地域の魅力を描いたスペシャルムービー「Experience Beautiful Life.」を公表したことでも話題になっている。海はもちろん、海岸線に迫るようなかたちで広がる山林や河川、独自の文化を形成する里山の集落など、多彩な魅力に溢れる場所として、日本人はもちろん、多くの外国人観光客からも注目を集めている。
「近隣の3県が手を携えてひとつの観光圏を形成するのは非常に珍しいケースだと思います。文化的な部分で多くの共通項が見られるからこそ、連携を強化することでその魅力を最大化できていると感じています」というのは、NPO法人自然体験温海コーディネットに所属し、観光コーディネーターとして活躍する冨樫 繁朋さん。『あつみ温泉』『村上瀬波温泉』『湯野浜温泉』に代表される名湯や、種類豊富な日本海の海の幸など、観光資源も豊富なエリアであるが、なんといっても最大の魅力は、日本の原風景ともいえる、ありのままの景観や文化にあるという。
「観光地として大々的に開発を進めたわけではない、"手つかずのローカルカラー"が残っている点に特徴があると思っています。それは、ここに住む人々と触れ合ってこそはじめて体感できる魅力。その人の生き方そのものが、地域の魅力と直結し、体現されているといえるでしょう」

人の魅力と地域の魅力がリンクする、そんな"きらきらうえつ"で、文字通り"きらきら"している人を紹介してもらった。渡辺美紀子さんが運営する「笹川流れ観光汽船」は、昭和27年に運航が開始されたという、観光遊覧船のハシリとも言える存在。笹川流れとは、新潟県村上市付近、約11kmに渡って岩が連なる海岸線のことで、激しい波の侵食によって形成された奇岩が織りなす独特の光景が印象的だ。
「花崗岩からなる岩肌は白く、透明度の青い海や青松と共に織りなす美しいコントラスト、そして日本海ならではのダイナミックな光景は感動的。国の指定名勝天然記念物、そして新潟県立自然公園に指定されています。約40分間、船長によるユーモアたっぷりの実況解説やカモメの餌付け体験を楽しみながら、笹川ながれの美しい岩々を間近に鑑賞していただきます。その後は、地元で採れたばかりの魚の天日干しを味わっていただくなど、ここでしかできない体験を提供しています」
何の奇をてらったものではない、いうなればとてもシンプルなアトラクションでありながら、これだけ長い間、多くの人々から支持を集め続けているのは驚異的。しかも、いまだに利用客は増加の一途をたどっているという。その人気の秘密は一体どこにあるのだろう?
「とてもシンプルで、昔とあまり変わらない場所があってもいいと思うのです。みなさん、自分の故郷に帰ってきたような感覚で、"一年に一回はここに行かなくちゃね"と、そんな感覚になってくださっているようです」

「しな織は日本三大古代織のひとつで、この地域を中心に分布するしなの木の樹皮を原料とし、すべて手作業で織り上げられる布です。この布地が完成するまでには、"木の皮はぎ"にはじまる22もの工程があり、地域の人々が協力し合いながら、作りあげている伝統的な産業といえます」と説明するのは、関川しな織センターの五十嵐千江さん。
東京で生まれ育った五十嵐さんが、最終的にこの地への移住を決意するほど魅了された理由も、まさにその互助作業特有の温かみにあったという。
「しな織のことが知りたくて、大学卒業後、2年間の体験移住をしたときに、この織物の奥深さというか、そこに目に見えない人のつながりや温かみを感じたのです」
この関川しな織は、今から10年ほど前に経済産業大臣から「伝統的工芸品」として指定されている。周囲から評価されたことで、改めて自分たちの文化に誇りを持つようになり、村の活性化につながったのだと。
「伝統工芸品に指定されたころは、この関川しな織センターにもたくさんの観光客の方が訪れてきましたが、今はすこし落ち着きましたね。逆に各地の織物を見て歩いたり、テーマをきめたこだわりの旅を楽しむ方が増え、ここで実際に織物体験をされていきます。私個人としては、織物産地の一つとして選んでいただけることが何よりもうれしく感じています」

村上市中浜の海岸沿いにある「ミネラル工房」で、こだわりの塩を作り続ける富樫秀一さんも熱い人だ。
「塩は人の身体にとって大切な要素。あまり減塩が過ぎると、自制心が維持できなくなったり、身体の疲れを回復する力が弱まったりするといわれています。人間の身体もこの目の前の海と一緒で、ある程度、血中に塩分が含まれていたほうが良い。雑菌の繁殖を抑え、抵抗力を補っているといわれていますね」
塩の味は、塩化ナトリウムと様々なミネラルの配合によって変わってくる。人間がおいしいと感じるものは、身体が必要としているものなので、自分の身体と相性の良い塩も、舐めたときに自然においしいと感じられるのだとか。適量の塩分とミネラルがバランスよく配合された、自分にぴったりの塩を見つけるのが重要だという。
「海域によっても味は違いますし、製法によっても変わってきます。目の前の海は塩分とミネラルのバランスが整っている状態にありますから、他の国や地方で取れた塩を混ぜると味が半化して、雑味が生まれます。だからひとつの海から作った塩はバランスが良いし、その土地で生まれ育った人たちにとって相性の良い塩になるのです。そう考えると、自分の身体は海から作られているという感覚が実感できるのですよね」
筆者のように東京や海のない街で育った人間はどのようにして、自分に合った塩を見つければよいのだろう。
「これはもう、味見をして運命の塩を見つけるしかない。ちなみに、私たちは単一の海水をベースに、少しずつミネラルのバランスを調整して変えていった3種の塩を用意しています。舐め比べてみれば、自分に合った塩が見つかるはずですし、私も直接お客様と会話をして、体調などをお聞きしながら、最適な塩を提案していきます」
富樫さんが作る"白いダイヤ"という塩は大変人気が高く、多くの有名レストランで採用されている。もちろん通販でも、購入は可能だ。

「開発が進んでいないというのは、昔で考えたらマイナスでしかなかった。でも、今は逆にそれが我々の強みとなっています。ちょうど良い感じで人の手が加わった文化と歴史が残っている場所なので、それをぜひ体験を通じて感じてもらいたいと思っています」というNPO法人 自然体験コーディネットの冨樫 繁朋さん

今回、取材をコーディネートしてくださった冨樫繁朋さんが所属するNPO法人は、この地ならではの体験型観光をコーディネート。例えばシーカヤックも箱メガネを使って海洋生物を観察し、温海の海ならでは生態系を学んだり、400年以上前から続く焼き畑農法を体験し、この土地ならではの農作物の作り方を学んだりしながら、文化そのものを体験できるという。
「ここでなくても、どこでもできる体験を用意しても、意味がないと思っています。インストラクターもすべて地元の人にこだわっているのは、魅力的な人々との交流を通じて、このエリアを皆さんの第二の故郷のように感じてもらいたいという思いがあるから。"出来合い"のものではない、この地に脈々と受け継がれてきた文化体験を楽しんでいただきたいと思っています」
この夏休みの家族旅行先にお困りのお父さん方。"きらきら"している羽越で、"きらきら"している人と触れ合ってみてはいかがだろう。家族丸ごと楽しめること間違いなしだ。

■取材協力
日本海きらきら羽越観光圏
http://kirakirauetsutabi.net/
NPO法人 自然体験コーディネット
http://gb-atsumi.jp/
笹川流れ観光汽船
http://www.sasagawanagare.co.jp/
関川しな織協同組合
http://sekikawa.shinafu.jp/
ミネラル工房
http://www.shiroi-diya.com/

■取材協力

日本海きらきら羽越観光圏
http://kirakirauetsutabi.net/

NPO法人 自然体験コーディネット
http://gb-atsumi.jp/

笹川流れ観光汽船
http://www.sasagawanagare.co.jp/

関川しな織協同組合
http://sekikawa.shinafu.jp/

ミネラル工房
http://www.shiroi-diya.com/

 
プロフィール 【伊藤秋廣(A.I.Production)】
年間300人超の実績。ビジネスパーソンからドクター、アスリート、文化人、タ レントまで幅広く対応するプロ・インタビュアー。対話の中から相手 の“哲学” を引き出す力に定評あり。ライティング専門プロダクション 「A.I.Production」を運営する。
http://www.a-i-production.com/
 

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