| 今この瞬間をじっくりと味わう |
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家の近所に咲いていた桜のつぼみ。すぐに可憐な花を咲かせ、刻々と姿を変えてついにはハラハラと散り始めてしまうことでしょう。今しか見る事のできない姿なのです
Photo By スポニチ
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東京では桜が満開です。私はこの季節になると必ずカメラを持って散歩に出かけます。桜の花だけでなく小さな春の花や木の新芽などを見つけると、その愛らしさに思わず顔がほころびます。人知れず一所懸命咲いている花や春を待って芽を出した若葉を見ると、どんな時にも途切れることのない自然の営みの力強さと美しさを感じます。
私たちは、いつでも色々な事を考えながら生きています。頭の中であれこれと思考がかけめぐり、様々な案件について色々な考えが浮かんでは消えていくのです。「思考」や「考え」にはある特徴があります。それは、思考は、必ず「過去のこと」または「未来のこと」に限られているということです。
たとえば、思考は、明日の予定とか仕事の段取りについて考えたり、「年金が受け取れるかしら?」とか「仕事がクビになったらどうしよう」など未来の心配をしたりします。また、「あの人は何であんな事をしたのだろう?」とか「あそこのカレーはおいしかったな」とか「私ってなぜいつもこうなのだろう」というように過去について考えたりします。考えている瞬間は、頭が過去か未来に飛んでいるといってもいいでしょう。
さて、何かを考えている瞬間は、今のこの瞬間に起きていることを感じることが難しくなってしまいます。つまり今ここで起きている事の代りに何か過去か未来の事を考えているのです。
たとえば、何か悩み事で頭が一杯だったとします。道を歩いていても「あの人にこんな風に言われた」「私が悪いのだろうか?」「何とか解決する方法はないだろうか?」「明日あの人にきちんと説明しよう」「それにしてもあんなふうに言うなんてむかつく」と、こんな調子で色々なことが頭の中をかすめつつ、今歩いている道で何かが起こっていたとしてもうわの空でちっとも気づいてはいません。ひどい時には「気がついたら家についていた」ということもあるかもしれません。こんなふうにいつも何かを考えていたら、私たちはすばらしい瞬間を見逃し続けていると言ってもいいかもしれません。
この原稿を書いている瞬間、西の空には美しい夕焼けの景色が広がっていました。もし、私が原稿のことだけを考えていたとしたら、美しい景色を堪能する瞬間を逃してしまうのです。そして今日の夕陽は二度と見る事はできません。自然の営みは連綿と続いています。
しかし、今日という日は二度と来ないし、今という瞬間ももう決して訪れることもないのです。感動や心躍る瞬間はいつでも今のこの瞬間にしか起こらないことなのです。そんなすばらしい瞬間を迎えていながら私たちは、多くの時を「考える」ことに費やしてしまいます。その「考え」にも二つの種類があります。一つは、ある目的に沿った有益な思考、そして二つ目は考えても仕方のない無駄な思考です。
人生の中でこの無駄な思考を減らすことができたらどんなにか世界が色づいた美しいものになるでしょうか?「過去のこと」は変えられませんし、すでに今にはない事です。そして未来の心配もそうなるかならないかなんてまだわからない先の事です。そんな過去や未来のことに時間を費やすくらいなら、今この瞬間をじっくりと味わって、堪能するほうがずっと心地よく気分よくそしてエキサイティングに過ごせることでしょう。
道を歩けば、美しい桜が今を盛りに咲き誇っています。今日のこの日ばかりは、考えることを少しお休みして桜の花の淡いピンク色を楽しんでみてはいかがでしょうか?
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