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浦和 6季目ペトロヴィッチ監督
ビジョンが必要 チームの本気が問われている

9日新潟戦を勝利し、笑顔で会見場を後にする浦和のペドロヴィッチ監督
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 指揮官の進退を賭けたとされる9日のリーグ戦で新潟に逆転勝ちを収め、続く天皇杯3回戦でも熊本を1ー0で下した浦和だが、この連勝で明るい展望が見えるかと言えば懐疑的にならざるを得ない。

 熊本戦の無得点は、確かに自信回復の要因にはなりそうだ。なにしろここ最近は守備が破綻していた。安易に失点を重ね、勝点を失ってきた。下のカテゴリーが相手とはいえ、いや、だからこそ0で切り抜けたことに選手たちが「大丈夫だ。きっと好転する」と感じることは悪いことではない。仮にここで失点していたら、さらに自信を失いかねない事態だったろう。その面では、攻撃面が物足りなかったとしても、とりあえず必要なミッションをクリアしたと言える。

 しかし、自信回復が悪いことではなくとも、大丈夫でもなければ、好転すると断言できる状況にはまだない。J1のライバルたちは浦和への対策が進んでいる。天皇杯はあくまでも天皇杯。いかにJ1で、ACLで勝っていくかの解決策は示されていない。

 5日に対戦した川崎Fは、まさに浦和の弱みを知り、巧みに突いた。川崎Fとしてみれば、ボールを持たれるのはある程度仕方がない。ただ、ダイレクトで繋がれ、フリックで縦のスペースを使われ、マークを引きはがされるのが怖い。ペナルティエリア前で網を張り、人とスペースをケアする。浦和の速さを封じたなら、サイドに出されても慌てる必要はない。回させてズレが生じた際に奪い、逆襲に転じる。

 攻撃的と評されるチームにとってことさら宿命的なのは、攻から守に切り替わった時に、いかに対処するかである。誰が当たり、どう遅らせ、誰に付くか。リスクに対するマネジメント力が問われるが、浦和はこれが顕著に不足していると言わざるを得ない。

 人はいる。でも、効果的ではない。川崎Fは二度も槙野、遠藤の間の狭いスペースで勝負し、ゴールを陥れている。川崎Fはふたりもいるから、スペースがないから、をマイナスにしておらず、むしろプラスに考えている。つまりは、ある一定の局面において、そこが浦和の守備の穴であることを熟知しているのだ。

 新潟もまた、浦和の守備の脆弱さを突いた。浦和CKからのこぼれ球を拾い、一気のカウンター。ゴール前まで難なく運び、一度は跳ね返されたものの、右クロスからゴールを決めた。浦和はまず、ファーストコンタクト、セカンドコンタクトの選手間の意図に同調性がなかった。また、一度跳ね返したことで、完全にエリアに戻ったにも関わらず、多くがボールウォッチャーになってしまった。体系的な局面での取り決めが成されていないか、あるいは希薄であることが露見した失点シーンであった。

 ほぼメンバーを固定し、浦和で6年目の指揮となる現状がこれでは、楽観視せよというのは無理な話だ。勝つために攻略法を繰り出す相手に対し、「自分たちのサッカー」に拘り、「内容は悪くなかった」を繰り返すばかりで危機を招いているのはナンセンスである。いくら失点しても、それを上回る得点力があり、勝利を積み重ねられるというのならそれも特色だが、それならば結果こそさらに重視しなければならない。

 クラブはペトロヴィッチ監督との蜜月をアピールするならば、どこに重きを置き、何が長期政権の礎となり、いかなる結果がノルマになるのかを改めて掲示しなければならない。「強くなっている」などと抽象的な言葉ではなく、やはりビジョンが必要だ。

 対戦相手はこれからもさらに穴を突いてくる。鋭くえぐってくる。その危機感が、どこまでも真剣な危機感が、個人的には感じられない。選手が闘っているのは当然ながら理解している。ならば、戦い方の問題を突き詰めなければならないのは必然だ。(何度も言ってきたことだが)まさにクラブの、チームの本気が問われている。(山内雄司=スポーツライター)

[ 2017年7月14日 06:00 ]

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