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【コラム】戸塚啓

日本代表メンバー サプライズは攻撃陣だけではない

[ 2014年4月14日 05:30 ]

笑顔を見せる日本代表のザッケローニ監督。守備陣にサプライズ選出はあるか?
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 日本代表候補のトレーニングキャンプが終了し、「サプライズ招集」や「スーパーサブ」といった単語が氾濫している。

 1トップの候補でメンバー入りが濃厚なのは、現状で柿谷と大迫だけだ。少なくともあとひとりはストライカーが選出されるはずで、2列目も流動性を残している。豊田、川又、南野らが勢揃いしただけに、視線が前線へ集まるのは必然だっただろう。

 しかし、注目は攻撃陣だけではない。W杯の戦いぶりを見据えると、最終ラインも気になる。

 ケガで戦線離脱中の内田と吉田は、W杯に間に合う見通しである。とはいえ、彼らがトップフォームを取り戻しても、プランBは用意しておかなければならない。出場停止のリスクが、守備陣には付きまとうからだ。

 昨年6月のコンフェデレーションズカップでは、3選手の頭上にイエローカードが掲げられた。多くはない。だが、長谷部が2度の警告を受け、メキシコとの第3戦で出場停止となった。残るふたりは今野と酒井宏樹だ。ワールドカップにあてはめれば、チームが上位に進出しても彼らが出場できない、という事態が生まれていたかもしれないのである。

 今回の合宿には、1メートル80を越えるセンターバックがズラリと並んだ。水本、山下、塩谷、鈴木、昌子らだ。左サイドバックで起用された1メートル82の槙野も、センターバックに対応する。

 3月のキリンチャレンジには吉田、今野、伊野波、森重の4人が選出され、今野の離脱により吉田と森重がセンターバックのコンビを組んだ。昨年11月のベルギー戦で一定の評価を得た森重は、今野と吉田を追随するレースの先頭を走る。彼もまた、1メートル80を越える長身だ。

 ザックがセンターバックにサイズを求めるのは、コートジボワールやギリシャの高さを警戒しつつ、リスタートが重要な意味を持つからだろう。拮抗した展開を打ち破るために、CKやFKは有効を手立てとなる。リスタートでの高さは、攻守両面において担保しておくべきだ。3番手、4番手のセンターバックだけでなく、サイドバックとセンターバックをこなせる人材にも、高さを求めていい。

 サイドバックの序列は長友、内田、酒井宏、酒井高、駒野の5人で形成されてきたが、センターバックを兼務できる選手はいない。右サイドバックでもテストされた塩谷と鈴木、さらには槙野らには、これまでと違うバリエーションをもたらすことが期待できる。

 5月12日の代表メンバー発表に、サプライズがあるとしたら。攻撃陣だけではない気がする。(戸塚啓=スポーツライター)

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