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【コラム】戸塚啓

JクラブがACLを勝ち抜くには

[ 2014年3月22日 05:30 ]

 グループステージの半分を消化したACLで、Jクラブが苦戦している。4チーム合計でここまで12試合を消化し、トータルの成績は3勝3分け6敗だ。ホーム、アウェー別にみると、ホームは3勝2分け1敗と勝ち越しているが、アウェーは1分け5敗と勝ち星がない。「過密日程」という四文字が、浮かび上がってくる。

 率直に気の毒だったのは、サンフレッチェ広島の第2節だ。3月8日にホームで川崎Fと対戦し、中2日の11日にオーストラリアでアウェーゲームに臨んでいる。結果は1-2の敗戦だった。同じく中2日でオーストラリアのピッチに立った横浜F・マリノスも、0-1で敗れている。

 選手はもっとタフになれ、と言うのはたやすい。欧州のトップクラブなら、これぐらいのスケジュールは普通だ、と。だが、片道8時間もの移動を必要とするゲームは、欧州CLにはない。

 欧州のリーグにあって、Jリーグにないものもある。国内リーグの柔軟性だ。
ACLのアウェーゲームを控えたチームは、リーグ戦を金曜日に開催できないものだろうか。Jリーグ側はテレビ放送の調整が必要で、クラブ側は入場料収入減が気になる。だとしても、後方支援なしで「勝て」というのは、チームへの負担が大き過ぎる。
もっとも、タイトなスケジュールをこなしているのは対戦相手も同じである。中国や韓国のクラブに、試合内容で押し込まれているのは否めない。

 セレッソ大阪がホームで敗れた山東魯能は、3人のブラジル人、アルゼンチン人、オーストラリア人と、5人の外国人選手が在籍している。なかでも際立つのはヴァグネル・ラブだ。CSKAモスクワ(ロシア)で本田圭佑のチームメイトだった彼は、アジアレベルではスーパーなタレントである。山東魯能はここまで3試合で6得点をあげているが、そのうち5点を外国人選手が記録し、ヴァグネル・ラブは4ゴールを叩き出している。

 川崎Fと同グループの貴州人和には、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表のMFミシモヴィッチとFWムスリモヴィッチがいる。F・マリノスとベスト16入りを争う広州恒大には、今季からイタリア代表MFディアマンティが加入した。外国人選手のクオリティで、Jリーグ勢が劣勢にたたされているのは明らかだ。

 決定力の高い「個」を前線に置く中国、韓国のクラブは、タテに速いシンプルな攻撃を志向する。外国人選手に依存したリスク回避のサッカーとも言えるが、実効性は高い。ロングボールで守備のバランスを崩され、外国人選手に仕留められたゲームが実際にある。

 Jリーグのスタンダートと言っていいポゼッションサッカーで、アジアのクラブを凌駕していくのか。して、いけるのか。いずれにしても、ACLを勝ち抜くには相当な覚悟が必要である。(戸塚啓=スポーツライター)

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