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【コラム】戸塚啓

ザックジャパン 「3-4-3」を試すべき

[ 2012年8月11日 06:00 ]

キリンカップ日本代表メンバー発表会見を行うザッケローニ監督
Photo By スポニチ

 ロンドン五輪が佳境を迎えたなかで、ザック率いる日本代表も再び動き出した。8月15日のベネズエラ戦のメンバーが、9日に発表されたのだ。

 今回の一戦では、最終ラインのキャスティングが注目されている。9月11日に控えるW杯最終予選のイラク戦には、右サイドバックの内田、センターバックの今野、栗原が出場できない。ふたつのポジションに誰を当てはめるべきかを、ザックは札幌のゲームで見定めるはずだ。

 これまでの序列でいけば、センターバックは吉田と伊野波のコンビになる。右サイドバックには駒野を当てはめるオプションとともに、伊野波を起用する選択肢もある。伊野波がサイドへまわれば、センターバックは岩政だろうか。

 6月シリーズで右サイドバックの2番手を務めた酒井宏は、招集を見送られている。ロンドン五輪出場の代償として、彼は新天地ハノーバーのキャンプにほとんど参加できていない。所属クラブで定位置をつかんでもらうことは、結果的に代表の利益となる。今回は単発のゲームだけに、彼と清武を招集外としたザックの判断は妥当だ。

 4バックではなく、3バックにトライするかもしれない。広島で3バックの左サイドを任されている水本が、このタイミングで初招集を受けたのは示唆に富む。

 4月に行なわれた国内組の合宿で、ザックは3-4-3-にトライした。「最終予選を見据えたものではない」としながらも、「試合のなかでやり方を変える状況もあり、その場合はこのシステムが合っているかなと思う。サイドを押し込まなきゃいけないときには、3-4-3のほうが合っている」と話している。

 個人的には、3-4-3をテストすべきだと思う。ベネズエラ戦は6月シリーズ以来の活動となるが、イラク戦の直前にもUAEとのテストマッチが組まれている。3-4-3の〈復習〉をするには、悪くないタイミングだ。

 イラクへの心理的効果も見込める。

 ベネズエラ戦で3-4-3を試すことは、日本はふたつの戦い方を持っているとのアピールになる。給料未払いで辞任を示唆するジーコが続投しても、新たな代表監督が就任しても、ふたつのシステムの対策を迫られる。最終ラインの顔ぶれこそこれまでと変わるが、ベネズエラ戦には海外組も合流する。ここで3-4-3を使えば、イラク側も受け流すことはできないだろう。

 より本質的な狙いもある。3-4-3の成熟度アップは、チームの可能性をさらに高めることである。12日にリーグ戦がある本田圭佑らは、代表合流が前日となる。帰国後の週末にもゲームがあるだけに、無理はさせたくない。

 そうした状況を踏まえると、ベネズエラ戦ではできる限り多くの選手を起用し、それに伴うシステムの使い分けも視野に入る。割り切ったテストという位置付けでいいと思うのだ。(戸塚啓=スポーツライター)

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