×

【コラム】西部謙司

より洗練されていたU-16

[ 2015年7月6日 05:30 ]

 U-22日本代表がU-22コスタリカ代表に2-0と快勝した。1週間前にはU-16もコスタリカと対戦していて、こちらは7-0と大勝だった。

 相手が同じコスタリカといっても年代も違うので、どちらが良い悪いという話ではないのだが、U-16のほうがスムーズな攻撃をしていた。

 年代が違っても日本のプレースタイルはやはりよく似ている。テクニックは上手いし、狭い局面でのパスワークも良い。少し違っていたのはロングパスの使い方だった。

 相手が守備ブロックを固めているときにどう崩すか。これは年代を問わず日本の課題の1つであり、A代表も先日のシンガポール戦(0-0)でこの課題をつきつけられている。

 攻撃のアプローチは主に2つある。1つは、相手選手の「間」につないで守備のバランスを中央から崩すこと。この方法はどの年代の日本代表にも浸透しているようで、上手くいったりいかなかったりだが、とりあえずこの崩し方は手の内に入っていると思う。

 もう1つはサイドへのロングパスだ。中央の「間」へつなげないほど密集している場合は、その手前でパスを回しながら、サイドのスペースへのロングパスを狙う。相手の守備ブロックはすでにコンパクトになっていて、後方のパス回しに対してはボールへプレッシャーをかけながら全体を押し上げてくる。守備ブロックはコンパクトになっているので「間」は狙いにくいが、そのかわりにサイドバックの外、あるいは裏は空きやすい。そこへ正確なロングパスをつなげば、密集守備の頭越しに一番前までボールを運べる。

 現代サッカーの定石といっていい2つのルートだ。ただ、ロングボールを使うほうは、パスがタッチラインを越してしまうようなミスがA代表でもよく見受けられる。

 U-22は左サイドへのロングパスを起点に先制点を奪った。ただ、U-16のほうが効果的にロングパスを使えていた。このパスの出し手は主にボランチとセンターバックになる。このポジションの個人的な資質の差なのか、戦術的な理解度なのか、そのあたりの事情はわからない。年齢が上がると出来ていたことが出来なくなるなら、それは日本の育成における大きな課題といえる。そうではなくて若い年代のレベルアップによるものなら、次の世代はより期待できる。攻め方に関しては年少の代表のほうが洗練されていた。(西部謙司=スポーツライター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る