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【コラム】西部謙司

バルサ 決定力は七難隠す

[ 2015年5月23日 05:30 ]

バルセロナの3トップ(左から)メッシ、スアレス、ネイマール
Photo By AP

 色白は七難隠すという。リーガ・エスパニョーラで優勝したバルセロナの場合は、決定力が七難を隠している。

 メッシ、スアレス、ネイマールの3トップで今季すでに100得点を超えた。スアレスは出場停止期間が終わった10月からの稼働なのだが、公式戦トータルで21ゴールを決めている。メッシは50ゴールを超えるだろうし、ネイマールもすでに32ゴール。

 CL準決勝のバイエルン・ミュンヘンとのゲームで、バルセロナはボールポゼッションで劣勢だった。ボールを支配することでゲームを支配するバルセ ロナの戦い方からすると、ポゼッションが60%を割り込むのは本来なら死活問題である。

  ところが、南米3トップは3人だけでフィニッシュへ持っていけるうえに、決定力そのものがずば抜けているので、チャンスの数はこれまでよりも少なくて構わない。むしろ3人にスペースを与えるためには、ある程度相手にボールを持たせて引いて守ったほうが有利なのだ。レアル・マドリーをホームに迎えたクラシコ のときも、バルセロナは決定力の差で勝負をつけている。前線のタレントにモノをいわせる戦い方は、レアルのお株を奪うようだった。

 ポゼッションが落ちたことで前線からのプレッシングも威力が落ちている。シャビがベンチを温める機会が増え、補強したラキティッチは少しタイプが違 う。ボール支配力は確実に落ちている。ポゼッションとプレッシングの循環で勝ってきたバルセロナの形が崩れつつあるのが現状だ。しかし、失点は少ないし、得点は増えている。サッカーで決定力がいかに大事かということだろう。

 ただ、攻撃は水ものでもある。計算できるのは守備のほうだ。CL決勝で対戦するユベントスは強力なレアルの3トップを何とか抑えて決勝に進出した。決勝はバルセロナの3トップをユベントス守備陣が抑えられるかどうかが焦点になる。(西部謙司=スポーツライター)

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