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【コラム】西部謙司

アジアカップには間に合うのか

[ 2014年11月12日 05:30 ]

練習で遠藤(中央)と競り合う武藤(右)
Photo By スポニチ

 アジアカップまで残された強化試合はホンジュラス、オーストラリアとの2試合。ここでチームを固めて本番に臨むのかと思っていたのだが…そのようでもあり、そうでないようでもある。

 アギーレ監督はこの2試合でも新しい選手を試そうとしている。今野、遠藤、長谷部はザッケローニ前監督時代の常連なので「新しい」というイメージはないかもしれないが、アギーレ監督のチームではあくまで新顔だ。

 「何かを試すのではなく勝ちに行く試合」

 監督はそう言っているが、一方で「まだ考えなければいけないことがある」とも話している。やはりテストはするわけだ。勝ちには行くけれども、この2試合のメンバーがそのままアジアカップのメンバーとはかぎらないということである。

 結局のところ、チームを本当の意味でまとめるのは大会直前の練習になる可能性が高い。これはちょっと危険な気もする。

 「80~90%は固まっている」

 本田、岡崎、武藤の3トップはほぼ確定だろう。香川もどこかに必ず起用する(たぶんインサイドハーフ)。内田、長友がベストコンディションならここも決まり。微妙なのがインサイドハーフ、アンカー、センターバックというところか。

 アギーレ監督の4-3-3では、ディフェンスの中央部を相手のFWの数にプラス1して守る。人数調整はアンカーで行うので、センターバックとアンカーを兼任できる人材が必要だ。同時に、アンカーが下がったときに代わりにアンカー役のできるインサイドハーフがほしい。前者は森重と今野、後者は細貝と田口ということになる。

 サイドバックを中央へ絞らせて3バックにする方法はいまのところやっていないが、やるとすれば適任は今野しかいない。ポリバレントな今野をどう使うかは、ラスト2試合の焦点になりそうだ。

 テストは小規模なものになるとはいえ、アギーレ監督はここまでテストの繰り返しで全くといっていいほど固める作業に入っていない。このままではザッケローニ前監督のときの二の舞になりかねない。前回大会は結果的に優勝しているが、1次リーグで足下を救われかねない状況だったことを忘れてはいけない。

 アジアカップの序盤で日本が苦戦するパターンは決まっていて、相手に引かれて点がとれない展開である。ザッケローニ前監督はコンビネーションを導入して何とか最終的には間に合わせた。アギーレ監督も同じダンドリのようだ。準備期間は前任者よりある。ただ、ここまでテストしかしていないので、準備にかける全体の時間はそんなに変わらない。前回は序盤を運良くしのげただけで、今回も首尾良くいくかどうかはわからない。(西部謙司=スポーツライター)

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