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【コラム】西部謙司

バルセロナ完敗

[ 2013年4月25日 06:00 ]

欧州CL準決勝第1戦 バイエルンM4―0バルセロナ
(4月23日)
 UEFAチャンピオンズリーグ準決勝、バイエルン・ミュンヘンがバルセロナに4-0と完勝した。まだカンプ・ノウでの第2戦が残っているとはいえ、バイエルンが決勝進出に王手をかけたといっていいだろう。

 メッシが完調ではなく、故障者や出場停止者が相次いだセンターバックのポジションを若手のバ ルトラが務めた。少し怪しい判定もあった。だが、この試合に関してはバイエルンのほうが強かった。

 バルセロナのボールポゼッションは63%、一般的にはかなり高い数値である。60%を超えると、一方的にボールを支配している印象になる。しかし、バルセロナとしては決して高い数値ではない。守備に不安のあったこの試合では、もっとボールを支配したかったはずだ。
 ポゼッション63%は微妙な数値でもある。サッカーではポゼッションの高いチームが優勢とは限らず、むしろ60%程度なら負けているケースは少なくない。バイエルンが13本のシュートを放ったのに対して、バルセロナはわずか4本。ポゼッションの有利が必ずしも結果に結びつかない典型のような試 合だった。

 しかし、バルセロナが目標としている70%となれば話は違ってくる。パスがつながるだけでは70%に達する可能性は少ない。早くボールを奪えていないとまず出ない数値であり、そこまで攻守が上手く循環していれば負けようもないわけだが、バイエルンは70%のポゼッションを許すような相手ではなかった。

 バイエルンの守備は堅く、カウンターは鋭く、パスも回せる。そして、バルセロナに対して決定的に有利だったのが高さだ。先制点はダンテのヘディングでの折り返しをミュラーが決めた。2点目はCKをミュラーが折り返してマリオ・ゴメスがゴール。高さで2点を入れている。

 バルセロナはパスワークとポゼッションを優先するので、テクニックに優れた 俊敏な選手が多い。そういう選手は小柄なので、バルセロナには高さが不足している。その弱点をバイエルンにつかれた。

 バルセロナはすべてが完璧なチームではなく、自分たちの長所を磨いて弱点を隠して完璧な試合をしてきた。バイエルン戦は長所が削られたことで、弱点をした試合だったかもしれない。(西部謙司=スポーツライター)

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