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【コラム】西部謙司

コパアメリカ参加で右往左往

[ 2011年4月20日 06:00 ]

 辞退といったり、参加になったり、そしたらまた辞退になりそうなコパアメリカ。日本サッカー協会の小倉会長が南米に飛んだときには、辞退のつもりだったようだ。当初はオフの予定だった7月にJリーグを開催することになり、海外組は招集に強制力がない。メンバーを集まられないので辞退したいという話だった。

 ところが、開催国のアルゼンチン協会を訪問したところ、「是非参加すべし」と説得された。「海外組の招集にも協力する」と言ってくれので、小倉会長は再検討を約束して帰国した。

 Jリーグはコパアメリカへの参加を了承し、協会も参加を決めた。だが、それには海外組を15人ほど招集するというのが条件になった。ところが、どうも15人を招集できるかどうか怪しくなってきた。FIFAのブラッター会長は規約に特例を作らないと表明し、依然として海外組の招集には強制力がないことがはっきりしたからだ。岡崎の所属するシュツットガルトと香川のドルトムントは招集拒否の構え。欧州で日本人選手が最も多いドイツのクラブが招集に応じないとなると、15人集めるのは厳しいだろう。

 ところで、日本協会は当初どんなメンバーでコパアメリカに臨むつもりだったのだろう。予定では、コパアメリカ期間中はJリーグがオフだったので、国内組の招集には問題がなかった。だが、コパアメリカはアジアカップより数段レベルが上の大会である。当然、主力の半数以上を占めている海外組は招集するのだと思っていた。招集に強制力がないのは当初からわかっていたから、欧州各クラブへの根回しもすんでいるのだろうと思っていたのだが、どうも違ったらしい。

 日本協会は南米連盟に招集したい海外組のリストを送って協力を仰いだという。つまり、その時点で招集できる海外組の人数が確定できていなかったということだろう。ということは、当初は最悪海外組なし、国内組だけでコパアメリカへ行くとつもりだったのか。

 国内組だけでも、かなりのメンバーは編成できる。だが、アジア以外の大会への招集に強制力がないならば、Jクラブにとってもそれは同じはずだ。ドイツがシーズン直前だから選手を出したくないというなら、リーグ戦中断期間であるJクラブにも拒否する理由は十分にある。そもそも選手を集められたのだろうか。

 コパアメリカはアジア主催の大会ではないが公式大会だ。招待国とはいえ、参加する以上は日本には代表選手招集に強制力が与えられるべきだと思う。だが、FIFAが特例措置はしないと言明した以上、状況は厳しい。Jの7月開催が決まったのだから、いまさらJからの大量招集はありえない。海外組が揃えられなければ、コパアメリカは諦めるしかない。
(西部謙司=スポーツライター)

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