【コラム】金子達仁

新時代の到来予感させるJリーグ

練習で指示を出す川崎Fの鬼木監督
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 実をいえば、今年のJリーグは「新しい時代が始まるシーズン」になるのでは、と思っていた。つまり、日本代表にとっての98年と同じ意味を持つシーズンになるのではないか、と。

 初のW杯出場を果たすまで、ほとんどの日本人にとってW杯は夢の舞台だった。恋い焦がれ、憧れつつも、心のどこかでは届かないことも覚悟していた舞台。だが、ジョホールバルという大きな関門をくぐり抜けて以降、W杯は夢ではなく目標になった。

 どうすれば勝てるのか。危機的状況はいかにして打破すればいいのか。勝ったことで得た経験値が、アジアの中ですら勝利を諦めていた日本を、W杯の常連国へと変えた。選手の技量が劇的に向上したわけではない。技量を司(つかさど)る意識が変わったのである。

 ご存じの通り、昨年のJリーグ3大タイトルを獲得したのは、フロンターレとセレッソ。ここ一番での弱さばかりを露呈してきた2チームだった。だが、彼らはついに新しい扉を開けた。ダークホース扱いがせいぜいだった立場から、本命と見なされる側に回った。新しいシーズンは、彼ら、特にリーグを制したフロンターレ中心に動いていくのではないか。そう思っていた。

 その気持ちがなくなったわけではもちろんない。ただ、想像していたほど簡単なものではなかったのかも、という気もしてきている。

 富士ゼロックス杯にしてもACLにしても、大切な公式戦とはいえ、現場からするとエンジンを全開にさせて臨む場ではまだない。この時点で問題点が見つかるのは、想定の範囲内ともいえる。

 ただ、これまでは「勝てない」ことにスポットライトがあてられていたフロンターレは、いま、チーム史上初めて「負けた」ことがニュースになるチームとなった。これまでは「揶揄(やゆ)」で済んでいた周囲の視線には、「批判」の色が加わってくる。バルサやレアルの1敗が、下位チームの1敗とはまるで違った意味を持つように、フロンターレの1敗も、昨年までとは異なる受け止められ方をするようになる。

 選手にとっては、むろん、簡単なことではない。

 日本にとって2度目の出場となった02年のW杯は、中国が初出場を果たした大会でもあった。日韓両国が予選を免除されたがゆえのこととはいえ、そこでつかんだ経験は、中国サッカーを大きくかえる可能性を秘めていた。

 だがドイツ大会、南アフリカ大会の出場を逃したことで、芽生えかけた中国の自信は潰(つい)えた。極東アジアのサッカーは、依然として日本と韓国を中心に回っている。

 さて、今年のJリーグはどうなるのか。

 フロンターレが今年「2度目」をつかむようならば、新時代が始まる。だが、逃せば――。どんな結果に終わろうとも、今年が歴史の節目として記憶されるのは間違いない。近年になく楽しみな、今年のJリーグである。(金子達仁氏=スポーツライター)

[ 2018年2月15日 17:00 ]

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