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リオ五輪、日本男子サッカーはブラジルに大きな味方がいる

リオ五輪でサッカー男子日本代表が戦う「アマゾニア・アリーナ」
Photo By 共同

 4月に下院で議決されたルセフ大統領の罷免は、5月12日上院でも議決され、五輪を目前にルセフ大統領は大統領の座を降りることになった。公金横領、巨大企業ペトロブラス石油公社やゼネコン幹部と政治家との贈収賄など、次から次へと出てくる汚職スキャンダルのオンパレードについに国民は怒りを爆発させ、国会がそれに続いた。とはいえ、副大統領から大統領代理に就任したミシェウ・テーメルも限りなく黒に近いグレーな立場の政治家。テーメルが、ブラジル大統領としてリオ五輪に得意そうに出席するかと思うと、勝手にせえといった具合だ。

 サンパウロの人にとっては、五輪も他人事。他の国でやるのとそれほど大きな差はないくらい特に恩恵を受けるわけでもない。結局、五輪は国を挙げてというよりは、都市単位のイベントなわけで、ロンドンだろうが、東京だろうが、基本的にインフラ充実や、施設が整備されるなどの恩恵は都市限定なので盛り上がり不足は致し方ない。

 さて、五輪の男子サッカーの組み合わせが決まった。日本はグループBでブラジル北部に位置するマナウスで8月5日対ナイジェリア、3日後の8日同じくマナウスで対コロンビア。そして3日の11日は北東部のサルバドールでスウェーデンと対戦することになった。

 日本にとって非常に有利なことは、暑い日本の夏から、暑い地域に移動することだ。マナウスは赤道付近の熱帯雨林地帯でとにかく蒸し暑いところ。体に汗がまとわりつくといったべたべた感は比較的からっとしている中央部、南部などよりも、ある意味日本の夏にとても似通っている。今や、日本の夏は熱帯に匹敵するとまで言われるほど厳しい暑さであるゆえ、それに慣れている選手にとって、大いなるアドバンテージだ。

 W杯ブラジル大会の時は、朝晩の冷え込みが激しいサンパウロ州内陸のイトゥーを合宿地にしたが、実際に試合をしたのは、北東部の暑い地域と、ブラジルの中でも有数の灼熱地であるクイアバだった。ブラジルの冬は、地域によって暖房が必要な寒いところもあれば、年中夏のように暑いところもある。気候のことは承知の上でイトゥーを選んだのだろうが、試合ごとに合宿地と温度差の激しい地域まで4時間ほど飛行機で移動するのは、効率的では無かった。

 今回は、合宿地を北東部のアラカジュにするということで、暑い日本から、暑いアラカジュに行き、さらに暑いマナウスで試合をするという暑さの連続で、暑さ対策はばっちりのはず。

 ただ、対戦相手のナイジェリアとコロンビアも暑いのには強いだろうから、スウェーデン相手には有利に働くことだろう。コロンビアはW杯ブラジル大会でも戦った相手だが、W杯の時はクイアバがコロンビアから近く、大応援団が来てまるでコロンビアホームに日本は乗り込んだような感じだった。今回も、マナウスはコロンビアと同じアマゾン地域。多くのコロンビア人が応援に来る可能性が高い。

 ただ、マナウスにも日本の応援団がいる。日本の方達はあまり知らないだろうが、アマゾン地域に日本人が移住したのが1927年。その後も、アマゾン開拓に日本人移住者が力を尽くし、たくさんの方が命を失った事実もあるが、ジュートや胡椒の栽培で成功を収めた歴史もある日本とつながりのある地域なのだ。現在、パラー州トメアスではアグロフォレストリーという新しい農業の形でカカオやアサイの生産で成功をしている。トメアスのカカオを使用して日本の明治製菓がアグロフォレストリーチョコレートを販売している。トメアスはマナウスからは1600キロと離れているが、同じアマゾン地区で日本人の存在感を知らしめてブラジル人からのリスペクトされている。

 そして、マナウスは税制優遇のフリーゾンが指定され工場が誘致され、ホンダ、ヤマハ、パナソニック、ソニー、サンヨーなど約30社の日本企業が進出し、87年からアマゾナス日系商工会議所も設立されている。西部アマゾン日伯協会という日本人会もあり、日本人子弟の通う日本人学校もある。
「山椒は小粒でぴりりと辛い」で、日本人応援団の数はコロンビアには負けるかもしれないが、遠い日本から離れたブラジル、アマゾンにいるからこそ、強く沸き起こる日本人魂を持った人々がいることを日本代表チームはぜひ知って欲しい。

 W杯ブラジル大会の時は、スケジュール的にも厳しく日本代表は現地の日本人や日系人たちとの交流はほとんどなかった。ただ、これほど日系、日本人が多い国は世界の中でも稀だし、ブラジルで日系人の地位はとても高いことをうまく利用しても良かったのではないかと思う。ドイツ代表はドイツ系ブラジル人はもちろんのこと、ブラジル人に対しても壁を作らず接し、しっかりとブラジル人の心までもつかんで応援を勝ち取っていた。ブラジルはドイツにぼろ負けしたけど、誰もドイツのことを悪く言わなかった。試合内容で文句のつけようも無かったが、それと同等に彼らはブラジル滞在を楽しみ、ブラジルの人々を友達だと接してくれたからだ。

 ブラジルで日本のことを悪く言う人はいない。これほどの親日国は他にない。日本代表もアマゾン地域だけでなくブラジル在住の日本人、そして移住者子孫である何十万人という日系人達の応援を味方にして、ブラジル人の心をつかんで欲しいものだ。(大野美夏=サンパウロ通信員)

[ 2016年5月30日 05:30 ]

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