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【コラム】海外通信員

ハーフナー肋骨骨折で離脱も チーム内で存在感増す

[ 2015年12月11日 05:30 ]

AZアルクマール戦の前半、ヘディングで競り合うデンハーグのハーフナー(左)
Photo By 共同

 12月4日、オランダリーグ第15節、AZ対ADOデンハーグでマイク・ハーフナーが肋骨を骨折した。

 今季リーグ戦で8得点。チームの得点王としてADOデンハーグを牽引していたが、無念の戦線離脱となった。このケガでハーフナーは年内のリーグ戦の残り2試合、第16、17節の欠場が確定。現地のメディアでは、「年越しの中断期間が明けてリーグが再開する1月17日の第18節、ADOデンハーグ対アヤックスで復帰するだろう」と報じている。

 第12節のローダJC戦で勝ち点1をチームにもたらす値千金の同点ゴールを決めた後、骨折をしたAZ戦を含めると、ここ3試合ゴールのないハーフナーだが、その存在感は大きくなっていた。第13節のフィテッセ戦では得点こそないものの、PKを獲得。上位争いをしているフィテッセ相手に、内容でも互角のサッカーを演じたADOにあって、前線で戦い続けた結果、得たPKだった。

 この試合に限らず、ハーフナーは前線のポストプレーヤー兼ゴールゲッターとして、常に相手ディフェンダーから厳しいマークを受け、引っ張られたり押されたりしている。そんなせめぎ合いを続けてきたからこそ、ファウルを取ってもらえたのだ。

 「テレビのインタービューとかでも、そういう話になっていた。多分、審判の間でも、マイクは、よく掴まれているから、という感じで言われていたと思うんですよ。だから、(ファウルを)取ってくれて良かったです」

 9月13日の第5節、ヘラクレス・アルメロ戦では、マークするディフェンダーを振りきってクロスに飛び込み、ダイビング・ヘッドでシュートを決めたにも関わらず、ゴールを認められなかったことがあった。ディフェンダーはハーフナーに振り切られた後、自分でコケただけだったが、審判にハーフナーのファウルがあったと判定されたのだ。その試合のハーフタイムに、審判から説明があったという。

 「『難しい判定で、自分はクロスが上がる時にボールの位置を見ていて、中で起きていたことはあまり見ていなかった』と言っていました。審判も人間なんでしょうがないっちゃしょうがないですけど」

 ヘラクレス戦のように審判の判定に泣くこともあれば、フィテッセ戦のようにファウルを取ってもらい、PKを獲得できることもある。ただ、第5節当時と違い、第15節ともなればハーフナーが普段ディフェンダーから掴まれ、抱え込まれて度々倒されていることは知られている。その存在感が、審判の判定に影響を与えるようになってきているのは確かだろう。

 存在感が高まっていることは、チーム内でハーフナーにボールがよく集まるようになってきていることにも表れている。

 元々、動き出しの良いフォワードだったが、オランダサッカー自体、ボールを回す傾向があるので、ハーフナーが早めに裏のスペースに走りだしても、当初はそれほどボールが出てこなかった。しかし、時を経るに従って、早めにハーフナーにボールが出てくるようになっていった。

 先日のAZ戦でも、裏のスペースに飛び出すハーフナーをチームメートがよく見ており、実際にボールが出てくる場面が多かった。ADOデンハーグの先制点の場面が、まさにそんな場面だった。

 前半9分、カウンターから、MFバッカーが右サイドの裏のスペースへと飛び出そうとしていたハーフナーにロングフィードを送り込む。駆け上がったハーフナーが右サイドでボールを収める。ファーサイドへとハーフナーがクロスを送り込むと、走りこんだ左FWのアルベルグがトラップしてシュートに行こうとするがディフェンダーにブロックされる。しかし、そのこぼれ球を拾ったMFバッカーがゴール左に蹴り込んだのだ。

 この試合の後半5分に、ハーフナーが相手のセンターバック、リーンストラと競り合い、負傷。しばらくピッチに倒れこみ、一度はピッチ外に出た。一旦はピッチに戻ってプレーを続けようとしたが、後半10分に再び座り込んで、直後に交代した。

 ADOはハーフナーが起点となって取った1点を守り切って、1―0でAZ戦に勝利した。この勝利もあってADOは13位まで順位を上げてきた。一時は勝ち星がなく、ジリ貧の状況になっていたが、持ち直しつつある。それだけにハーフナーの負傷離脱は痛い。だが、すぐに中断期間がくることから、チーム内得点王の不在が2試合で済みそうなのは、不幸中の幸いだ。

 リーグ前半戦を、ハーフナーは14試合出場8得点で終えた。来年の1月からの活躍も楽しみだ。(堀秀年=ロッテルダム通信員)

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