×

【コラム】海外通信員

AFAのドン・グロンドーナ氏、最後の決断

[ 2014年5月4日 05:30 ]

 アルゼンチン1部リーグが30チーム編成になる。

 1979年4月6日に就任し、今年で35年目を迎えたアルゼンチンサッカー協会(AFA)のフリオ・ウンベルト・グロンドーナ会長(82)が2015年の任期満了を前にアルゼンチン1部リーグチーム数増加案を発表した。

 現在は20チームで前、後期の年間2大会を行っている。短期決戦でチャンピオンが年間2チーム出るシステムはファンにとっては楽しみが2倍になっている。しかし、チーム運営面では費用的に厳しいチームも多く、監督にとってもチーム作りが難しい。すぐに結果が出せない場合、数試合でクビになることもあり、監督のレベル向上にも影響しているのも現状だ。

 グロンドーナ氏は数年前からリーグの40チーム制など長期的なビジョンを打ち出していたが、なかなか具体化されなかった。今回はおそらく会長職最後の任期であること、W杯ブラジル大会が開催されるということで節目と考え、決断したのだろう。

 細かい内容はまだ発表されていないが、現在の1部20チームに2部リーグ(B―NACIONAL)の10チームを加える。基本的には今まで通りの総当たり方式で、入れ替えは年間2チーム、勝率の平均値で決められる。

 AFA第1副会長のルイス・セグラ氏は「リーグ戦を長くすることで、よりレベルアップし、チーム運営費の負担を減らし、テレビ放送を多くするのが狙い」と、説明している。チーム数が増えれば各地域でのクラシック戦も増える。テレビ放送が増えれば放送権収入も増える。各チームのプレシーズンマッチの運営費が1回分減るなど経済的効果はあると見られている。

 W杯前に再度、AFA幹部会が開かれ、正式決定されるが、その場合、今季は降格チームはなく、15年2月からのスタートになる。

 国民の反応も様々で、「これはすべてインデペンディエンテを助けるためだけのもので不公平だ!」という声もある。1984年にトヨタカップで優勝したこともある名門インデペンディエンテも、現在は2部に降格し、厳しい状態にいる。グロンドーナ氏はかつてインデペンディエンテの会長をしていたこともあり、「また何かグロンドーナが企んでいる」と、疑惑の目で見る者もいる。「絶対にしないでほしい、すでにアルゼンチンリーグのレベルは落ちているのに2部リーグを混ぜたらもっとひどくなる」と、レベル低下を危ぐする声もある。

 改革には多くの抵抗がつきものだが、アルゼンチンサッカーの将来を考えた決断であることを、多くの国民が願っている。(大野賢司=ブエノスアイレス通信員)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る