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【コラム】海外通信員

米国で存在感の増すベッカム MLSにバルサMFシャビを勧誘!?

[ 2014年3月9日 05:30 ]

2月5日MLS新チーム発表記者会見に出席したベッカム氏(中)
Photo By AP

 今アメリカで最も注目されているサッカー関係者といえば元イングランド代表MFデビッド・ベッカム氏ということになるだろう。

 その一端は2月2日に行われたアメリカ最大のスポーツ・イベント、プロ・アメリカンフットボールNFLの優勝決定戦スーパーボウルの全米テレビ中継に現れた。ベッカム氏の出演したファスト・ファッション・ブランドのCMが放送されたのだ。

 普通のCM出演ではない、スーパーボウルのCMというところが特別な点だ。スーパーボウルのテレビ中継は毎年40%を越える高視聴率をたたき出すお化け番組である。実際今回も46.7%を記録し、平均視聴者数1億1220万人はアメリカのテレビ史上最多だった。それゆえ中継で放送されるCM枠の放送権料は世界で最も高く、今回は30秒1回の放送権は平均400ドル(約4億円)に達したと見られているほどである。

 そのためCMそのものも特別なものとして扱われるようになっており、各社多額の制作費をかけた新作を披露する場となっている。そんなCMの効果をより上げるための方法の一つがセレブリティ、有名人の起用。ハリウッドのスターなどが登場することが多いが、ベッカムもその一人なのだ。

 ベッカムの出演で効果が上がると考えられているのだから、アメリカの一般社会でどれほどの認知度を得ているかわかるだろう。同ブランドは事前にCM内で下着が脱げてしまうか脱げないかを投票で決める企画を実施するなど力が入っていた。同ブランドは日本でも広告にベッカムを使っているのでその一端を見ることができるかもしれない。いずれにせよベッカムはそれほど知られた存在となっているのである。

 一方、サッカー・ファンやメディアから大きな関心が寄せられたのが、先月5日に行われたメジャーリーグサッカー(MLS)の新チーム発足記者会見だった。ベッカム氏は07年にロサンゼルス・ギャラクシーに加入した際、2500ドルの新規参入金で新チーム起ち上げる権利を取得していたため、その動向が注目されていたのである。ベッカム氏は2人のパートナーと共に、チームの共同オーナーとなった。

 チームは17年にリーグ加入を予定しているが、本拠地がフロリダ州南部のマイアミであることも注目したい点である。アメリカにおける中南米への玄関口ともいえる都市であり、ヒスパニック系住民が非常に多い土地なのだ。そのためサッカー人気も高く、中米の代表チーム同士がゲームを行うと5万人以上入るスタジアムが満員になるほどである。

 が、MLSには98年から01年までマイアミ・フュージョンというチームがあったものの観客動員に苦しみ、撤退したという歴史もある。サッカーは好きでも見るのは祖国やヨーロッパのチームで、地元チームに目が向けられなかったことが原因のように思われる。そんなある意味難しい場所だけにベッカムの名声や能力がどう生かされるか注目されるのだ。

 新チームに関してはスペイン代表MFシャビ(バルセロナ)を獲得するのではといった話題やチーム名をかつての人気ドラマにあやかり「マイアミ・バイス」にするかもといった噂が出るなど、出だしの関心度はなかなかのようである。

 今後もアメリカのサッカー界と一般社会においてベッカム氏の存在感は増していきそうだ。(渡辺史敏=ニューヨーク通信員)

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